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魔法少女リリカルなのはStylish クロス元:Devil May Cry 最終更新:08/10/07 第一話『Devil May Cry』 第二話『Gun Fist』 第三話『Strawberry Sunday』 第四話『Strike out』 第五話『Riot Force』 第六話『Blood link』 第七話『Destination』 第八話『First Mission』 第九話『Rodeo Train』 第十話『Devil Must Die』 第十一話『Omen』 第十二話『Black Magic』 第十三話『Chance Meeting』 第十四話『Cross Fire』 第十五話『Soul』 第十六話『Shooting Star』 第十七話『Tear』 第十八話『Dear My Family』 第十九話『Dark Side』 リリカルなのは×ジョジョ第五部 クロス元:ジョジョの奇妙な冒険第五部 ―眠れる運命の奴隷達―(前編) ―眠れる運命の奴隷達―(中編) 拍手感想レス :簡単にアンカーガンからクロスミラージュ乗り換えなさそう :第3話にて、スバルの攻撃?を勘で避けるティアナ…ダンテがアグニ&ルドラ使ってたらダガーモード×2の時その動きを参考に前衛もできるようになるんじゃ… :なのは達との良い意味での距離感がイイ、六課って変な所なあなあでしたからね、公私の分別をつけるのは当然の義務っす :あなたの文は読み手の胸を暖かくとてくれる、そんなあなたの文が僕は大好きだ。 :もしティアナが壁にぶつかったらダンテと同じく悪魔の力を使えるキャロに嫉妬しそう :キャロ、君の闇は君自身のモノだよ、君の光と同じ様にね、強過ぎる光の中では君を護ってくれる大事な要素だよ :スカ博士が何気にシブいぜ!そして、キャロの過去に全米が泣いた :スカ博士が魅力あるキャラになりそうな流れに期待 :ティアナかっこよ過ぎクロスミラージュ空気読みすぎでシビレるww自重しろwww :はやてがちゃんと隊長しているのがスゲーーーー! :アンカーガン殉職、ここに哀悼の意を表します :最高です!!しかしあえて言おうダンテはまだかああああ!! :キャロに悪魔の力が宿っているのをティアナが知ったら、何するか判らなくて怖いなぁ :ダンテ最高!!今回はパパーダスタイルですね? :今回のダンテは最ッッ高 :いよいよ六課とダンテが邂逅。この先の展開に目が離せない。 :なのは二次小説の良作です。早く続きが見たくなる面白さ! :ルシアが出たと言うことはネロも?楽しみにしています! :アリウスキター!やっぱり最後は悪魔化するのかしら?楽しみだ! :これが修正力!!ティアナの暴走は避けられないのか!? :新作キター! マジ面白いッス! コメント欄です 感想や応援メッセージなどをお気軽にどうぞ(無名コメントも可能です) なお、過度な展開予想や要望は禁止です。コメント同士の会話もやめてください。 続きが楽しみでっす! ダンテカッコイイ! -- 名無しさん (2008-09-06 00 06 36) Smokin Sick Style!!!!!! -- ジョジョルノ (2008-09-06 00 09 59) 十七話でも変わらないハイクオリティに感動しました。 ぜひ完結までがんばってください。ジェロニモォォオオオ!! -- 名無しさん (2008-09-06 11 13 18) ティアナとなのはの模擬戦に涙!このSSを見たせいで続きが気になって仕方ない!責任とってぇ!www そしてジェロニモォオオ!wwww -- 崇拝者 (2008-09-06 11 28 49) これは普通に面白い! -- 名無し (2008-09-11 07 07 07) ジェロニモ(笑 扱いが難しいかもしれませんが、 後半辺りにでも真魔人を出して頂ければ嬉しいです -- 名無しさん (2008-09-11 08 53 21) なにはともあれ、じぇ、じぇろにも~(笑) -- 名無しさん (2008-09-12 21 00 24) おかげでなのは小説に目覚めてしまった... COOL! -- Sig. (2008-09-13 15 45 19) ジェロニモォオオオオオオオオオオオオ!!!! -- CRAZY! (2008-09-15 14 31 36) もしや、777様では・・・!? たぶん、ここのバージルは超兄貴w -- ∴ (2008-09-15 15 03 48) 久しぶりに変な改悪抜きの「ダンテ」が見られて嬉しいです! ストーリーも熱くて、続きが待ち遠しくなります! -- 名無しさん (2008-09-18 02 50 24) カックいいぜダンナー!!受けたぜぇ、ジェロニモーーー!! 律儀に真似するフェイトのジェロニモもいい感じだったなぁ… っつーか何気にダンテ×フェイトのフラグ多くねぇ? ま~それはそれでいいが -- MiTi (2008-09-18 06 32 42) 最新話キター! 今回では語られなかったようですが、バージルに関しての事も含めた諸々は次話かな。 続きが楽しみです。 -- 名無しさん (2008-09-18 23 25 00) 感動の再会ついでにキスの1つくらいどうです?あ、でもそうしたらフェイトが嫉妬しちゃいますね。 しかし、ティアとなのはの関係もイイですね! -- ジェロ (2008-09-19 00 38 33) 待ってました!!! ダンテと兄貴の対峙の瞬間が待ち遠しい。 -- ジョジョルノ (2008-09-19 00 56 51) ちなみに、恒例行事(ダンテに剣がぶっ刺さる)は無いのかな? -- 名無しさん (2008-09-19 03 37 50) 最新話おもしろかったです! ティアナがどんどん成長していってなのはやダンテとの交流が とても温かく感じられました。 しかしもっと嬉しかったのは原作じゃ空気だったユーノ君が出てきたことっす! どんな形であれ活躍してくれるなら大喜びですわ! -- 名無しさん (2008-09-19 07 17 06) 毎話毎話本当に面白いです! -- 名無し (2008-09-19 21 36 15) スゲェー!! バージルがカッコよすぎる!!! 今からダンテとバージルがどう関わっていくのか楽しみですw -- トラフィル (2008-09-20 13 25 08) まあってました!新作キ・キ・キ・キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!! バージルが本当にカッコよく、そしてダンテとティアの関係が最高です。 続き本当に楽しみにしてます。 -- 名無しさん (2008-09-21 13 20 59) ジェロニモてwww ティアナ・ミラージュコンビの全力反抗に痺れましたw 兄貴も現れたし、この先も楽しみにさせていただきます -- 名無しさん (2008-09-22 05 53 03) ラスボスがムンドゥスかアリウスかバージル兄貴か、はたまた神か…………。どうなっても面白そうだから読むのが辞められない! -- 名無し (2008-09-22 07 22 09) バージルカッコいいー!!!!!!続きがすげえ楽しみです! -- 名無しさん (2008-09-22 13 38 13) スカ様最高です。 ウーノGJ. -- 名無しさん (2008-10-07 21 25 37) YAMATOOO!!演習でダルマとはバージルは相変わらず鬼畜ですなw ダンテも素性ばらしたようですし近いうちに魔人化も見せてくれそうですね。シグナムとの剣嘩(誤字にあらず)はないのかな? 続きも楽しみにしています。 -- 名無しさん (2008-10-07 23 06 26) 待ってました!(≧∇≦) ナンバーズって結構好きなんで更なる活躍希望。しかし本命はティアナとダンテです! -- 名無し (2008-10-08 00 20 46) クアットロざまぁww -- 名無しさん (2008-10-08 01 54 36) 楽しみにしてました!!!!! ダンテがいつ魔人化するのかが気になる。 ちなみに、リベリオンとフォースエッジ以外のデビルアームズは出ないのかな。色々出すのは無理だろうけど、なんか出てきてほしいな。パンドラとかルシフェルとか。 -- ジョジョルノ (2008-10-08 04 30 34) まだかまだかとダンテの活躍を焦らされてきましたが、ここからの展開が楽しみでたまりません! -- 名無しさん (2008-10-08 16 48 16) このクオリティたまらんす!!次回の展開が楽しみです(^=^) -- てず~ (2008-10-09 15 42 45) バージルきたーー!!バージル大好きなので出てくれて本当にうれしです -- 名無しさん (2008-10-09 16 12 32) 貴方が神か!?ジェロニモー! -- 携帯からクレイジー! (2008-10-14 01 12 40) レッドオーブってそんなにヤバイものなのか。俺は4しかやってないからアイテム買うための金ぐらいにしか思わなかったが。しかしアレはゴミ箱や置物破壊しても出てきた気が・・・イラストにもその手のネタが・・・。まあ、悪魔が隠れていたのでしょう。次回楽しみです。 -- 携帯から失礼 (2008-10-14 07 21 16) スカ様が最高! -- 名無し (2008-10-15 01 25 56) おお、来てた!相変わらず面白かったです続き期待しています! -- 名無しさん (2008-10-15 15 44 38) あぁ………。これは本当にイイものだ………。 -- 名無し (2008-10-18 23 20 45) すごく・・・すばらしいです -- 名無しさん (2008-10-19 10 36 00) 新作…来てた……嬉しすぎる…バージル兄貴……!!! -- 名無しさん (2008-10-27 03 03 30) コミカルにして繊細、原作者を遥かに凌ぐ描写力、キャラの理解力、実に素晴らしい -- 名無しさん (2008-10-31 23 27 24) ボニクラもいいけど、DMCの武器を使う機会はあるのかな エボアボがダメだとしても、ナイトメアβやアルテミスなら使えるかな?これからが楽しみです! -- 名無しさん (2008-11-01 00 41 40) 貴方にもスパーダの御加護があらんことを… -- 魔剣教団騎士 (2008-11-02 13 32 53) 楽しすぎて狂っちまいそうだ! -- 名無しさん (2008-11-04 00 30 10) ティアナがツンデレ ブラコン・・・・ -- 名無しさん (2008-11-06 18 56 54) DMCのキャラしか知らんがオモローです 只のダンテ最強SSではなく、ダンテの人柄重視に感動した -- 名無しさん (2008-11-16 22 27 20) なのは+デビメの良作をこの目で見られたのは非常に嬉しい。だが、携帯なので入りきらないのが残念だ…いつかはパソコンで制覇してやるぜ!続き頑張れ!長文失礼 -- Black (2008-11-29 22 31 44) 氏の書くダンテはいつでもどこでもどんな時だって人間臭い、 時おり見える悪魔の片鱗がさらにそれを際立てる。 さらにそんなダンテに負けないくらい各々にもしっかりキャラが 立ってる、そんな氏は悪魔か、神か…。 長くなりましたが、結局何が言いたいのかと言うと じぇろにもー って事です、はい。 -- 名無しさん (2008-12-04 01 24 13) ダンテは魔人としてティアナと接したらどうなるんでしょう?もう知ってる・・・のか? あとブチャラティの話niceです! 続きが気になります! -- アンジェロ (2008-12-15 01 52 46) ここのティアナTUEEEEEEEEEE!!!!! ゼロ氏のティアナ同様なのはさんを 追い込みヤガッタ... 今後、この娘は少なくともまともな ことにはならんだろう...www -- あっくす (2008-12-21 15 35 09) ちょっと、てかかなり影のあるキャロもなかなか! -- ツバァイ (2008-12-22 00 37 53) いつになったら更新しますか? -- 名無しさん (2008-12-22 09 39 02) ↑死ね -- 名無しさん (2008-12-22 10 21 10) ダンテの魔力はオーバーSSS(人間にはアリエナーイクラス) なのは間違いない。 -- 名無しさん (2008-12-23 14 51 06) さすがスカさん! あの兄貴を丸め込むとは器がデカい! 悪魔にケンカを売るという肝っ玉もさすがのものなんだZE☆!! -- 名無しさん (2008-12-29 14 22 40) ルシフェル装備のダンテさんとチンクの爆発物投擲バトルが見て見たい♪ -- ALS (2008-12-30 00 38 49) ダンテかっこよすぎ!!(☆w☆) -- 名無しさん (2009-01-01 06 15 36) あけましておめでとうございます。今年も創作活動頑張ってください! -- 名無し (2009-01-01 08 29 49) まだかなー 続きが待ち遠しすぎる…!w -- 名無しさん (2009-01-15 03 59 00) さっさと続編を書きなさい。それがあなたにできる善行よ!! -- 四季映姫 (2009-01-15 16 14 57) ↑それは言ってはならないような気が激しくします。 -- 名無し (2009-01-16 00 40 13) 頑張れ -- 名無し (2009-01-24 16 02 49) ファンにできるのは期待して待っとくだけさ -- 名無しさん (2009-01-31 22 47 58) 程よいギャグの中にシリアス……ッ! こいつは……極み……ッ! ヴィータフラグ……フェイトフラグ……なんでもウェルカム……! -- 名無しさん (2009-02-02 04 26 12) 貴方のクア姉に萌えた。クアに萌えたのは初めてww -- 名無しさん (2009-02-15 01 14 23) 早く続きを~~ -- ウェルカム (2009-02-23 16 55 35) ここのダンテって恋仲になる相手が少ないから(マザコン&シスコン的な意味で)困るwww それがいいんですけどねw -- 名無しさん (2009-02-23 20 05 57) に・じゅう・わっ!に・じゅう・わっ!ジェローニモーーーーーーーーーーー! -- 名無しさん (2009-02-23 21 22 28) じぇろにもぉ〜♪ -- 名無しさん (2009-02-24 14 00 28) ハッ・・・早く続きを~~~(^w^) -- 名無しさん (2009-02-25 14 04 09) 今後のダンテと六課の皆さんの活躍が、待ち遠しいです。 -- DMC (2009-03-08 17 33 24) できれば挫折しないでほしい作品です! 待ち遠しいさ~ -- ファン (2009-03-10 09 18 05) この小説を読んだおかげ無事大学に合格しました!ありがとうございます!これから頑張ってください!応援しています。 -- 一浪合格 (2009-03-10 17 43 33) 凄く面白くてキャラをしっかり掴んでるのが凄いです。 ただ活躍が固まってる感じ(リリなのの方)がしました。 頑張ってください! -- りう (2009-03-20 04 28 08) とても面白かったです。それぞれのキャラの感じがよく掴めていたと思いました。今までいろんな作品を見て来ましたが、どの作品も途中で止まってしまうものばかりです。この作品は最後までいってくれることを期待しています。途中で挫折しないでほしいです。 -- クルシス (2009-03-22 02 40 44) ブチャラティの! 黄金の精神に、期待するゥゥゥゥゥ! 続きを 書くまで 見るのをッ 止めないッッ! -- アンジェロ (2009-03-22 16 56 13) もうダメ…なのか… -- 名無しさん (2009-03-22 18 10 33) バージルまで出しちゃったのはあざと過ぎるwwww -- 名無しさん (2009-03-25 04 31 23) 冷血どSにして愛され系?のバージル兄貴。 かなり原作に近いと思える感じです。 あの双子は相容れることはないのでしょうかね・・・ -- 名無しさん (2009-03-26 00 44 08) 毎日読んでます。でも飽きない。だって面白いもん。 -- ソイ (2009-03-26 01 29 17) 面白すぎる。 ブックマークさせていただきます。 -- 名無しさん (2009-03-29 17 27 35) 続きをお願いします‼じぇろぉぉぉにもぉぉ~~~ -- 名無しさん (2009-04-10 10 51 12) スバル·ナカジマを見ていたらK-1を思い出しました。前田慶次郎選手は凄かったな。次はルスランかバダか。 -- 名無しさん (2009-04-11 00 50 51) バージルの今後が非常に気になりますね! ダンテと最後まで敵対し続けるのか、 それとも、分かり合い共闘するのか…… 非常に続きが楽しみです! -- 名無しさん (2009-04-11 23 16 47) 作者さん、これだけの人があなたを応援しています!私もその一人です!どうか続きをお願いします! -- エルファス (2009-04-12 11 22 57) 面白いですね。続きを期待しています。 -- ロシアの速射砲 (2009-04-15 22 11 54) こんなに面白いのに、途中で終わっちまうなんて嫌だぁ -- 名無しさん (2009-04-17 09 15 53) あなたが一番面白いと思う物を書いて下さい。 私が一番読んでみたいのはソレなのです。 slow down babe ? -- ファン (2009-04-17 18 51 15) 気、気になるッ・・・ 続きがッ! バージルがやっと動き出して、 なんかアギトが絡むようで、 ティアナは一段落ついて、 これからじゃないかッ!見所は!! 20話に期待しています!! -- アンジェロ (2009-04-22 12 53 53) 二十話更新を楽しみにしております! 個人的には、バージルが今度こそ幸せに なって欲しい。DMC3の名シーンが再現されるのも 期待しております! -- 名無しさん (2009-04-25 04 10 28) 続きが凄く気になります!ここで終わってしまうのは勿体ないなぁ。んあ~! -- トヴァロヴィッチ·ダミール (2009-04-25 20 12 26) 一気に読ませてもらいましたぜ! 気長に更新を待ってます -- 名無しさん (2009-04-29 06 16 31) ジョジョとのクロス…だと…! 予想以上のクオリティでwktkが止まらないぜ! 続きに激しく期待! -- 名無しさん (2009-04-29 16 56 56) ここまで続編を期待される作品はもう名作としか言いようがありません!。DMCクロスも読みたいですがジョジョも見たい! 私も小説を書いてる者です、確かに執筆と私生活の両立は難しいです…ですがこの作品は本に出来るぐらいの名作ッ!! 大変でしょうけど本当に完結を期待してますッ!! -- カイバーマン (2009-05-02 13 24 23) 続きが凄く楽しみです。そういえば今週の土曜日は「IT’S SHOWTIME」の日ですね。こちらも楽しみです。日本で放送してくれないかな。巨神兵 VS 悪魔王子、ハンターRU VS 百獣の王なんてかなり盛り上がるのに。 -- サイモン·ルッツに取られちゃったよ (2009-05-14 23 53 38) ハンターRU欠場で百獣の王の相手はハンガリーの死神に変更されたようです。 -- 名無しさん (2009-05-15 15 58 28) 悪魔王子が巨神兵をまさかの瞬殺!百獣の王もハンガリーの死神を相手にきっちりと勝ちをおさめた模様。 いや~、悪魔王子強いね。将来パウンド·フォー·パウンドと呼ばれる存在になるかも。 -- 名無しさん (2009-05-17 18 12 25) 気になる・・・ 続きが読みてぇ -- 名無しさん (2009-05-26 12 08 33) 十七話は何度見てもなきそうになります ワイルドなティアナが最高です! -- 田中 (2009-05-28 18 23 46) 続きマダー? -- 喜夛川 (2009-05-29 21 28 58) めちゃめちゃ面白いです!続きを楽しみにしてます。 -- 名無しさん (2009-06-02 22 36 17) すごい人気だなー 読んでみようかな・・・ -- 名無しさん (2009-06-11 15 16 48) ダンテは女運が無いからいくらフラグ立っても決してゴールしないんだぜw そして兄貴と相容れる事も無し… だからダンテはダンテなんだ -- 名無しさん (2009-06-14 14 48 00) ↑ よく解ってらっしゃる。 ジュース奢ってやろう(ウソ -- 名無しさん (2009-06-14 19 08 56) ギャアアアアアア!ブチャラティかっこよすぎいいいいいいいいい!!!!! -- 名無しさん (2009-06-15 01 44 21) 面白い・・・まさかオメガセクターの 777さん? -- 名無しさん (2009-06-19 11 00 02) ↑オメガセクターだと!?あそこには毎日行っていたぞ!まさか・・・・!?とりあえずどちらの作品も面白いので俺の一番のお気に入りです。 -- 名無し (2009-06-21 21 29 43) いつダンテとバージルが戦うかスゲえきになる -- 名無しさん (2009-06-27 20 12 44) 777と言われて納得 確かにあの人の作品っぽい まあ、正解かどうかは本人にしかわからんけど。 -- 名無しさん (2009-07-05 20 35 52) 続きが気になります。 -- 名無し (2009-07-07 11 34 24) ダンテさん、シャマルルートへのフラグも順調に回収してますねw 20話舞いながら待ってるぜ! -- 名無しさん (2009-07-17 10 57 55) 更新を!疾風怒濤の更新を!一心不乱の更新を! -- 名無しさん (2009-07-24 17 12 35) ↑よせよ、そういうのがウザい+作者の負担になるって分からないのかよ。度々コメで更新しろ、続き気になるとか書いてる奴いるがほどほどにしとけ -- 名無しさん (2009-07-24 17 20 40) 作者の負担になるというが……作者、もうここ見てないよね、たぶん……。 見ているのなら、更新はともかく、生存報告が欲しいくらいなんだけど。 -- 名無しさん (2009-07-24 21 03 49) 俺も更新しろとか続きが読みたいとかしきりに書く奴 まあ全部同じ人間なんだろうがいい加減にして欲しい いちいち更新履歴をageるなよ -- 名無しさん (2009-07-25 01 50 07) 作者はとっくに見限って逃亡してますw あまりにも読者が厨なのでwwwwww -- 名無しさん (2009-07-26 00 49 24) 過剰に続き書け書け言うのは不味いが 期待しています程度ならいいだろう 少なくとも俺は期待している、面白いからな 二次創作SSだし、待つのは当然のことだ -- 名無しさん (2009-07-26 02 51 17) 凄い引き込まれました。 面白いもんだから続きが気になるのは当たり前のこと。 需要があるからコメントされる。 でも二次創作だから、未完のままで終わるかもしれないってのも仕方ないこと。 楽しい時間でした。 じぇ、じぇろにもー! -- 名無しさん (2009-07-29 22 14 19) ティアナの今後が非常に気になる。 新技とかレッドオーブによるパワーアップ 続き楽しみにしてますので頑張ってください。 -- 名無しさん (2009-09-05 02 37 17) 私は、このstylishが今まで読んだ中でも本当に すばらしい出来前のSSだと思います。 今後も期待していますが、どうか無理をせずに頑 張ってください。 -- 名無しさん (2009-09-07 19 15 21) 管理してる第三者が補足してないだけでとっくに更新してるのになんで作者がここに掲載するっていう思い込みでレスつけてんの?馬鹿なの?ゆとりなの? -- 名無しさん (2009-10-04 13 13 22) え、マジで? -- 名無しさん (2009-10-05 19 22 18) …俺達の一年間はなんだったんだ。 -- 名無しさん (2009-10-05 22 06 37) つーかいつ頃に出た?全然、気が付かなかったよ。 -- 名無し (2009-10-06 00 44 23) 結局見方がわからないorz -- 名無しさん (2009-10-07 00 59 03) デマじゃね? 釣られたかw -- 名無しさん (2009-10-07 03 32 18) ↑で更新されてるって言ってるけど、どうやってみればいいの? -- 名無しさん (2009-11-26 15 04 21) ↑釣りだっちゅうに・・・・ -- 名無しさん (2009-12-13 18 38 18) エタったか -- 名無しさん (2009-12-14 00 30 23) 今更発見したが超面白いな -- 名無しさん (2010-01-08 13 38 15) 2010年になってから読み始めた。 すんげェオモロイ。続きを切実に希望 多分、作者はFateとデビルメイクライのクロスを書いてた777さんだろう。 -- 名無しさん (2010-01-17 21 17 15) かなり面白い!!続きが超気になる。 頑張ってください!! -- 名無しさん (2010-01-26 23 25 17) かなしいけどこれ、もう2年放置なんだよね・・・w -- 名無しさん (2010-02-03 20 39 35) 小説家になろう。にあるとある最強系主人公達の放蕩記とゆうSSのオリ主がティアナと初めて会うシーンやスバルと初めてコンビを組んだ時の話がそっくりなんですが皆さんどう思われますか -- 名無しさん (2010-02-11 15 12 26) 見つけました。たしかによく似てますね。そっとしておいてあげましょう。 -- 名無しさん (2010-02-11 19 51 59) この作品のほうが先ですよね。 あっちがオリジナルだといいたいのかと思いました。 -- 名無しさん (2010-02-14 11 33 25) 催促のレスにムキになって噛みつく香具師は 自演丸出しの屑野郎ですw -- 名無しさん (2010-02-20 22 25 10) 名作なのに、続かないのは心底もったいないなぁ。 何個か↑のコメで言っていた作品、確かにこれの影響うけまくりですな -- 名無しさん (2010-02-23 15 25 38) …もし777氏であったとすれば、恐らく夢の職業へ就く為に努力と尽力の日々を送っているのでしょう。 本人が、「夢を本格的に追う為にHPやめても、別のサイトへSS投稿は続ける」…て仰ってたんで、もし似た話があれば彼なのかもしれません。 どっちかと言えば、今は一次創作を描いてる可能性が… -- 名無しさん (2010-02-23 15 55 30) 777氏本人では無いと思う。文体が違うし。 ただ、名作の影響の受けるのは別に良いんじゃない? どうしても気になるなら読まなきゃいいんだけ。 -- 名無しさん (2010-02-24 23 39 58) 今後のティアナの変化と、ダンテとバ-ジルの再会がかなり楽しみです。 いつか再び来ることを信じています。 -- 名無しさん (2010-03-02 00 32 45) 最近になって原作を知り、中でも最強の凡人ティアナさんに惚れて二次創作を読み漁ってるものです。 DMCはさわりしか知らない身でしたが、このお話を読んでやってみたくなりました。 どちらの作品のキャラクターも非常に魅力的で原作に興味を持たせてくれる、良いクロスオーバー作品だと思います。 読ませて頂いてありがとうございました! 最終更新はだいぶ昔のようですが、続編を待つものが此処に一人w 作者様がこれをご覧になっているかは分かりませんが、期待させて下さい! -- ぽるけ (2010-08-13 23 46 27) 最近読ませていただいたのですが・・・何ですかこの神作品はww 時間を忘れて読み続けてしまいましたw この作品の感想を書いたら大量のテキストは投稿できないと言われたので自重して・・・ とにかく感動したとだけは言わせてください!面白すぎて泣いてしまいました! そしてあの展開でもう終わりだなんてそりゃないですよww 何年だろうが待ち続けます、いつか是非第二十話の更新をお願いします! 続編の更新を待つものは此処にも一人いますよ! -- いるか (2010-11-15 09 17 24) シグナムとバージルの対決は面白いことになりそう剣と鞘で斬って殴り合いになるのでは? -- 名無しさん (2010-11-24 11 54 53) これほど読み応えのある作品に出会えた俺は幸せ者だ。たとえ完結せずとも十分楽しめた。ありがとう作者! -- 名無しさん (2010-11-26 12 55 27) 続きが気になる、特にティアナ -- 絶望のカーニバル (2011-04-04 15 19 54) 更新しないのか〜い -- のあ (2011-09-12 12 32 24) フェイトダンテの絡みでニヤニヤしちゃう 続き待ってます。 -- 名無しさん (2012-02-17 11 56 10) ここまで読み応え有る作品は中々お目にかかれなそうだw続きが楽しみですw -- 名無しさん (2012-03-08 04 57 24) どう考えてももう放置か。 まぁ、書く書かないは作者の自由だがせめて一言欲しかったな。 期待して気長に待っている人が大勢いるからなおらさね。 -- 名無しさん (2012-03-31 03 44 33) 自分も今DMC×リリなのStS書いてる身・・・応援してますぜ。 -- o肉 (2012-07-30 23 21 46) もう4年近く経つのか -- (2012-08-13 02 39 08) 第12話の一番下のところ 前へ 目次へ 次へ のリンクがつながってないですよ。 -- 名無しさん (2012-08-22 13 42 58) これ程携帯が離せない作品は初めてです -- 名無しさん (2012-11-14 18 13 51) ダンテがカッコいいですね? -- 名無しさん (2012-11-15 23 47 57) この作品が大好きです -- 名無しさん (2012-11-19 19 44 31) この小説を読めてとても嬉しいです -- 名無しさん (2012-11-22 00 27 28) 楽しい小説ですね これからが楽しみで仕方がないです♪ -- 名無しさん (2012-12-14 16 55 59) どこでも暇があれば読んでしまいます。 -- 名無しさん (2013-01-04 18 09 15) 更新いつまでも待っています -- 名無しさん (2013-02-24 09 48 12) 続きがとても楽しみです。 -- 名無しさん (2013-07-15 22 49 29) とても面白かったです 続きが楽しみです欲しかったですもしくわ -- ヤマト (2013-12-09 08 52 04) 気長に待ってます 気が向いたらでイイので -- 名無しさん (2014-01-24 08 33 48) 更新いつまでも待っています -- 名無しさん (2015-08-04 21 21 35) 続きが気になる~! -- zen (2016-09-13 14 36 32) 更新待っています -- 名無しさん (2018-01-21 00 03 10) 頑張って下さい。応援しています -- 名無しさん (2019-03-06 13 30 23) 今までに呼んだ二次小説の中でも最高の面白さです。何時も更新していないか確認してしまいます。 -- 名無しさん (2019-03-06 18 31 20) クロスssでもハイクオリティの作品でした。 とても面白かったです。 -- 名無しさん (2019-12-30 22 15 07) 高校時代読んでいて、10年振りくらいに来ました。いつ読んでも面白い… -- ななし (2023-05-15 02 29 00) 名前 コメント TOPページへ このページの先頭へ
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切り替わる仮面。 自らを映し出す心の鏡。 映るのは自分だけとは限らない。 02 Montage AM12 53 機動六課、隊長室。そこでは、現在重苦しい空気が流れていた。 「――で、この人に助けてもらったと」 「うん……」 世界が時間を取り戻し、六課のシステムが復旧した頃、なのはと青年は六課に保護され、現在部隊長であるはやてに事情を説明していた。 しかし、その内容はとても信じられるようなものではなく、はやては頭を抱えたくなった。 当事者の一人である青年は連れてこられてすぐは物珍しげに辺りをキョロキョロと見回していたが、今は大人しくなのはの隣で、フェイトとデスクに腰掛けたはやてに向き合っていた。 はやては青年の顔を見つめる。この青年も訳が分からない。 六課に保護したはいいが、何故か腰に銃を下げていた。質量兵器が禁止されているというのにどうやってそれを入手したのかは知らないが、押収してみるとその正体はアンティークのようなもので、弾丸は出ない仕様になっていた。 着ている制服らしき服はタイまで締められ、首から提げていたのは携帯型の音楽プレーヤー。 戦地にいたとしてはおかし過ぎる格好だ。浮世離れした奇妙な存在感を、彼は放っていた。加えて、 「シャドウに影時間、か……」 隠された時間。止まっていた時間。映像記録の繋がりの不自然さも物語っている。 確認した映像記録では、ほんの一秒前まで存在していなかった青年がなのはの隣に立っていたのだ。 自身も体験している以上、影時間というものの存在については認めざるを得ないだろう。 しかし、なのはの言う「化け物」はどうにも要領を得なかった。それを語るなのは自信も困惑した様子で、「手が沢山生えた影のような化け物」とこれだけだ。 しかしなのはの言葉からは嘘は感じられなかったし、隣の青年の証言も合わせて考えるに、それはどうやら事実であるらしかった。 証拠がないからと言って十年来の友の言葉を軽く扱うはやてではない。 シャドウと呼ばれる怪物にどう対応すればいいのか……。 鍵は、目の前の青年が握っているらしい。 AM12 00 時間は影時間に遡る。 「あの、さっきはありがとうございました」 「……気にしなくていい」 あの後、なんとか立ち上がったなのはは、彼に話を聞いていた。 彼が道に迷っていたこと、偶然なのはを見つけたこと。そして、影時間のこと。 「影時間?」 「そう。一日と一日の狭間に存在する、隠された時間。 この時間の中では特殊なものを除いて一切の機械が動かなくなり、人間も、一部の人たちを除いて、「象徴化」し、棺型のオブジェになる」 青年の話は胡散臭いことこの上ない。 しかし、異常なこの現状や、先ほどの恐怖が拭い去れずにいるなのはは、それ併せて考え、青年を信じることにする。 頷いて、続きを促した。 「その一部の人たちは、「ペルソナ使い」と呼ばれる。 僕がさっきして見せたように、精神の力を具現化させることができる、素質を持った人たち。 さっきの怪物…僕が「シャドウ」と呼んでいるアレは、その素質を持った人を襲う」 「それって……」 なのはの呟きに、今度は彼が頷いた。そう、と呟いて、言葉を続ける。 「あなたにも、ペルソナを使う素質がある」 青年の言葉から数分後、影時間が終わり、周囲があるべき時を取り戻し始めた。 ガジェットもこれまでと同じように活動を再開する。 ちょうど一時間前と変わらない光景に、なのはは気を引き締めると、レイジングハートをセットアップした。 「それは……?」 驚きに目を見開く彼に微笑みかけると、残るガジェットを殲滅すべく、なのはは空に戻って行った。 青年は、魔導師を見たことは無論なく、ましてやこの世界の常識が一切分からない。 とりあえず目の前の女性が壊している機械を見て、自分も参戦して手伝おうかと思ったが、どうやら必要なさそうだ。 一気に手持ち無沙汰になってしまった青年は傍若無人にもズボンのポケットに両手を収めると、戦闘を傍観し始めた。 彼女に話を聞かない限りは自分はここで行き倒れるかもしれない。 転生してすぐそれはごめんだった。ならばここはこの戦いが終わるのを待つしかない。 なのはとしても、青年が下手に動かない方がやりやすかったこともある。 しかしそんな判断がその事態を招いたのかも知れない。 なのはから遠く離れ、射程から離脱していたガジェットは、近くにいた青年の後ろに回り込むように旋回していたのだ。 なのはが気づいた時には既に遅く、ガジェットは青年に攻撃を仕掛ける寸前だった。 「危ない、後ろ!」 なのはの声に咄嗟に振り返った青年は、ガジェットの攻撃をかろうじて回避した。 なのはは安堵の溜息をつき、しかし彼の矛盾に内心首を傾げた。 何故あれ程の怪物を倒せておきながら、攻撃に参加しないのだろうか? 彼はただ単にこの世界がどういうものか分からなかったし、戦う必要も思い当たらなかったので手を出さなかっただけなのだが、それでも今の不意打ちには思うところがあったらしい。 ホルスターの銃を抜くと、その銃口を躊躇うことなく、自らの頭に向けた。 「何を……!?」 するの、となのはが言い終わる前に、そのトリガーは引かれた。体を銃身に、精神を火薬にして。 果たして放たれた弾丸は、彼の心の仮面。自らを守護する精神の鎧であり、剣。 「オルフェウス……!」 最も目を引くのは背に背負われた巨大な竪琴だ。 そして、異様に細長い付け根と、その先に円筒を取り付けただけのような異形の手足。 腹部にはスピーカーのようなへこみがあった。アンバランスなシルエット。 青年に似ているようで、細部で大きく異なる異人。 「あれが……ペルソナ」 現れ出でし幽玄の奏者は、その背に背負う竪琴を後ろに振りかぶると、か細い腕のどこにそんな力があろうかという勢いで、思い切りガジェットに叩きつけた。 凄まじい衝撃にガジェットは地面にたたきつけられ、外郭である装甲がひしゃげる。 その一撃はガジェットの内部に損傷をきたしたらしい、ガジェットの機能は完全に沈黙した。 実験とも言えるオルフェウスでの物理的な攻撃の結果は予想通り。 シャドウ以外にも、この世界の機械にペルソナの攻撃が通用することがわかった。 それだけを確認すると、彼は自らの内で心の仮面を付け替える。 更なる標的のガジェットを見定めると、再びトリガーを引く。知らず、彼の口元には微笑すら浮かんでいた。 放たれたのは、兜を頂く隻眼の男。北欧神話の主神、 「オーディン!」 マントと雷をその身に纏う雷神、オーディン。その姿はまごうことなき王者たる威光を放っていた。 オーディンはその手に持つ槍「グングニル」を天に掲げた。 万雷を孕む黒雲が辺りに立ち込め、周囲に雷鳴を轟かせながら雷を降らし始める。 「マハジオダイン」。強大な雷は周囲に散らばっていたガジェット全てを貫き、撃ち洩らすこともなく破壊していった。 大規模な雷の嵐が静まり、黒雲が消えうせると、オーディンの姿もそれに伴うように露と消えた。 彼は周囲を見渡すと、呆然としているなのはを見上げた。 「終わり?」 「う、うん」 あっけなくガジェットを殲滅してみせた青年の能力は、なのはの想像以上だった。 青年は銃をクルクルと手で回転させてみせ、ホルスターに収める。 気障なパフォーマンスだが、青年はそれを自然体でやっているらしい。見惚れるほどさまになっていた。 正直彼には驚かされっぱなしで呆然自失のなのはだったが、その後、とりあえず彼を保護するとともに六課へ帰還、事の経緯をはやてに説明し、今に至る。 「で、あの「力」はなんや?魔法か?」 はやての言葉は、青年に向けられたものだった。 映像記録に残されていた彼の戦闘の映像は、すでに眼を通していた。 常ならざる能力であることは確かだが、その正体は不明のままだ。 見た感じでは、キャロの召喚術に似ていないこともない。 彼は少し思案し、やがて首を横に振った。そして、一言だけ単語を口にする。 「ペルソナ」 「え?」 「『ペルソナ』という能力。シャドウに対抗し得る、唯一の力」 「……詳しく聞かせてもらえる?」 フェイトが続きを促した。はやても頷く。彼は逡巡する様子を見せた。 自分の中で考えを纏めているような感じだ。 「これは、僕の主観ですが」 やがて彼は自分の心臓の位置に手を置き、そう前置きしてから話し始めた。 「……皆さんの使う魔法とは、全く別のものです。 潜在意識にある心の力を具現化したもの。言葉に表すならそんな感じです」 ……ペルソナについて一通りの説明を終えた彼は、もう話すことはない、とでも言うようにポケットに手を収めた。 「つまり…別の次元から何かを呼び出す召喚術とは、違う召喚術ってことかな?」 フェイトの問いかけに、彼は頷いた。 「ペルソナは内なる心の力。引き出すのに必要なのは技術じゃない。 魔法は技術、ペルソナは能力。そう解釈してもらえれば分かりやすい。 召喚器で頭を打ちぬき、仮想の中で内なる力を引き出す。 安定した召喚を行うにはこのプロセスを行う必要がある。でも、必ずしも必要な訳じゃない」 青年は頭のこめかみに手で作った銃を押し当て、引き金を引く真似をした。 「……それで、君はなんでそんなに事情に精通してるんや?」 はやての質問は、核心を突くものだった。彼は物思いに耽るように眼を瞑ると、やがて口を開いた。 「……僕は、この世界の人間じゃない」 三人は一様に驚く。薄々、この世界の人間ではないのでは、と思ってはいたが。 職業柄、次元漂流者というものにはまま、遭遇することがある。 しかしその殆どは自分の身に何が起こったのか理解していない。 しかし彼は自分が別世界にいることを明確に理解していた。 彼は、自分と自分の居た世界、そしてここに来ることになった経緯を説明する。 「――その後、僕は気づいたらこの世界にいた」 ユニバースの力の事や、デスを封印してからの経緯の事など、自分が向こうの世界では死んだ身であることは黙っていた。 自分でもうまく説明できる自信がなかったし、何故か彼は、目の前にいる人たちに自分は死んでいたのだということを知られたくなかったのだ。 「んー、なんやとてつもない話やなぁ……」 「それじゃあ、なんでこの世界に影時間があるのかは、分らないの?」 「……はい、僕もこちらに来たばかりで事情がよく……。次は、僕の質問に答えてもらえますか?」 この世界について、彼はまだ殆ど何も知らなかった。 目にした魔法にも興味があったし、この世界を知ることは不可欠だ。 その後も情報交換のようなやり取りは続くが、当然のように話はペルソナに帰結した。 この世界に影時間とシャドウがある限り、その脅威を退けられるのはこの力だけなのだ。 「基本的にペルソナは一人一体。僕のように、同時に複数のペルソナを所持することができる人も稀に存在します」 「私たちがペルソナを出すには、どうしたらええの?」 「……多分、召喚器で頭部を撃ちぬくことで、僕と同じようにペルソナを引き出すことができます。 でも、不安定なままの力を無理やり形にして引き出すようなものなので、下手をすれば暴走する」 自分にも経験があるのでわかる。 暴走を避けて安定して引き出したいならば、自然に覚醒するのを待つしかない、ということになる。 そんな悠長な、とはやては言うが、こればかりはどうしようもない。 「それで、これからのことだけど……」 そんな中、フェイトが言い難そうに話を切り出した。 「しばらくはここで身元預かりってことになると思う。 自由な行動ができなくなるから、申し訳ないんだけど……」 「いえ、是非お願いします」 身一つでこの世界に放り出された彼にとっては、衣食住もままならない状況が好転したといえる。 フェイトはすまなそうにしているが、制限がつくとはいえ、身元預かりとは願ってもない待遇だ。 「そういえば、自己紹介もまだだったね。私は高町なのは。」 確かに。なのはの言葉に漸く気づいた。苦笑を洩らしながら、彼は名乗った。 「僕は……藤堂、綾也です。」 なのはに送ってもらい、宛がわれた自室に入ると、綾也はベッドに倒れこんだ。 久しぶりに力を行使したからだろうか、眠気が酷い。 この世界で目覚めた時、気づいたら影時間の只中だった。 混乱するも、ここが別の世界だということを思い出し、とりあえずあてもなく歩きだす。 途中で見つけた人影と、今まさに襲いかからんとするシャドウ。咄嗟だった。 定位置である腰のホルスターに手を伸ばすと、召喚器を手に取りペルソナを召喚した。 今になって考えると不思議である。 なぜ自分はこの月光館学園の制服を着て、携帯音楽プレーヤーを身に着け、あまつさえ召喚器を持っていたのか。 思考は眠気にかき乱される。 気を抜けば失いそうな意識をなんとか繋ぎ留め、残ったなけなしの気力で起き上がった。 もぞもぞとブレザーを脱ぎ、タイを解いてそれらを床に放り出すと、綾也は再びベッドに倒れこみ、今度こそ意識を手放した。 違和感に目を覚ますと、そこは一面藍色だった。 ベルベットルーム。夢の中にいながら、これは夢だと自覚しているように、矛盾を感じる時がある。ベルベットルームにいるときは、そんな感覚に襲われる。 「また、お目にかかりましたな」 呼び出しておいてよく言う、と思うがそれは黙っていた。 「さて、今宵あなたを呼び出すのは二回目ですな。先ほど、と言ってよろしいものか、話の続きがございます」 「僕も聞きたいことがあった」 それはそうでございましょう、とイゴールは笑いながら頷いた。 「さて、何からお話致しましょうか……。そういえば、紹介がまだでしたな。」 イゴールが示したのは隣の麗人だった。 「初めまして。マーガレットでございます」 「……エリザベスさんじゃないんですか?」 イゴールに視線を送るが、老人はただ黙して笑みを深めるだけだった。 「妹は行方不明でございます」 「妹!?」 以外だった。エリザベス……彼女に姉妹がいたなんて。マーガレットと名乗った彼女に初めて会った気がしないのも、納得できる気がした。 しかし、行方不明とは。この世界の住人にも、そんなことが起こりえるのだろうか。……ありえそうだ、彼女なら。 「ずっと興味を惹かれておりました。妹を打ち倒す程の力を持った殿方……。一度、手合わせ願いたいものです」 「……ッ」 マーガレットは微笑んだ。綾也は肌が粟立った。一瞬だったが、自分に向けられたプレッシャーは凄まじかった。 無意識に、反射と無効を持たないペルソナにチェンジしてしまう程に。 間違いない、この人は強い。これまでに培ってきた経験が、警鐘を鳴らしていた。 「それほどにしておきなさい、マーガレット」 「これは私としたことが、つい」 冷汗が頬を伝う。内心、イゴールにこれほど感謝したのは初めてだった。 「それでは、本題に入りましょう。あなたはこの世界に誕生した際、ユニバースの力を失いました」 「!」 「いかにユニバースの力といえど、ここまでの奇跡は無理があったようですな。 大いなる奇跡の反動にか。それは定かではありませんが、今のあなたはユニバースを使えません」 なんとなく、気がついてはいた。自分の中にあった、あの「不可能な気がしない」感覚が抜け落ちていたのには。 だからと言って何か問題があるかと言われれば、答えはノー。今までが異常だったのだ、ただ元に戻っただけ。 「……僕はこれからどうすれば?」 「あるいは、意味や目的などないかもしれませんな。人生そのもののように曖昧で、あなたの行く末は私にもわかりえません。 深い漆黒の闇に覆われ、見通すことのできない前途。多難でございますな」 イゴールはフフ、と笑った。笑いごとではない。 「とりあえずは日々を気ままに過ごしてはいかがでしょうか。いずれ来るであろう試練に」 自分がここ来た事。そこに意味あるのだろうか。イゴールの言うとおり、意味などないのかもしれないが。 それでも、やるべきことはある。 「今は休まれるのがよろしいでしょう。そろそろ目覚めの時間ですな」 またもあの感覚だ。意識が浮上し、ベルベットルームを離れるのがわかる。 「それでは、ごきげんよう……」 綾也は夢とベルベットルームに別れを告げると、ひどい空腹とともに目を覚ました。 とにかく朝食を口にしようと部屋を出ようとして、どこで食べればいいのか分からない事に気づき、途方に暮れる。 ちらと視界の端に映った部屋の隅には、見覚えのある青い扉があった。 「こんなところに作らなくても……」 軽い眩暈を感じたのは、憔悴のせいか、空腹のためか。 とりあえず廊下を歩いて出会った人に聞こうと、部屋を後にぶらぶらと廊下を進む。何度目かの角を曲がろうとして、意外な人物に出くわした。 「君は……綾也君」 「確か、フェイトさん……?」 眠気も一瞬で醒めるほどの美女が、驚いた様子で綾也の名を呼んだ。 昨夜の自己紹介で教えられた名を確認するように言う。 「よかった、探していたんだけど……」 「あの。朝食って……どこで食べられますか……?」 フェイトの言葉を遮る綾也の言葉が以外だったのか、フェイトは瞬きを繰り返した。 「ごめんなさい、きちんと伝えておくべきだったよね……」 「いえ……」 綾也は外見通り、基本的には小食だが、食べる時は食べる。そして今は、食べる時だった。 彼は食堂のメニューを開き、彼のスタイルを考えると信じられない程の量を注文し、黙々と平らげ続けた。 フェイトはそれを余程お腹が空いていたのだろうと解釈したらしく、すまなそうにしている。 その光景は食堂の一角において、かなり異質な取り合わせだった。見慣れない青年と六課が誇る敏腕執務官が食事を共にする。 それだけでも周囲の視線は付きまといそうなものだが、六課の職員はほとんどが女性である。 その視線の中には、明らかに綾也へ向けられる好奇の視線が含まれていた。本人には自覚がなくとも、コーヒーを口に運ぶ彼の姿はカリスマ級だ。 しかし、当の二人はその視線には全く気付かず、妙な空間を形成し続けていた。 「よく食べるんだね」 「食べないと力が出ない」 漫画の食いしん坊キャラのようなセリフを吐きながらも、走り出した食は止まらない。あっという間に三人分はあろうかという量の朝食を取り終えると、食後のデザートへ入っていった。 「食事の最中悪いんだけど……」 フェイトの声のトーンが下がり、デザートを口元に運ぶ手は休めずに、綾也は目線をパフェから外した。 「この後、呼び出しがあるの。ここの部隊長から」 「部隊長?」 「昨日、私の横にいた人」 あの人か。独特のイントネーションで話す、女性。 「昨日の部屋……部隊長室に来てほしいって。私も同行する予定だから、探してたの」 「何の要件なんですか?」 「わからないけど、大事な話って言ってたよ」 やはり影時間やシャドウ、ペルソナに関することなのだろう。綾也はパフェを食べ終えると席を立った。 呼び出されている上、待たせているとなれば長居は無用だ。フェイトの案内され、部隊長室へ向かう。 そこで、ある意味綾也の予想は肯定された。 「僕が、六課に?」 「そや。うちらはまだシャドウに対抗する力を持ってない。君の力が必要なんや。 その力を貸してほしい」 予想の中でも、かなり望ましい位置にあった申し出だ。 自分はこの世界においてエキストラではなく、役職を得ることになるし、生活にも困らない。 「僕の力でよければ、いくらでも」 「ありがとう、そう言ってくれると思っとったよ」 綾也の言葉を聞くと、はやては笑って言った。 「よろしくな、綾也くん」 差し出された右手を、綾也は握り返した。 「こちらこそ、お世話になります」 六課への入隊。それは暗闇に包まれたこの世界での一筋の光明のように感じた。 これからの旅路、行く手に何が待ち受けるのか。分からなくても、それでも何とかなる気がしていた。 ユニバースの力がなくても、自分には残っている。ペルソナと、絆が。色褪せることのない確かな輝きを放つそれが、行く手を照らしてくれように感じて。 元の世界に未練がないわけじゃない。還ることができたらどんなにいいだろう。 しかしここにも僕の居場所ができた。無責任に捨てることはできない。 今は尽力しよう。この世界の闇を晴らすことに。それが、僕のすべきことだと感じていた。 そして、夜が来る――。 前へ 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第20話【無限の欲望】 フェイト「ジェイル・スカリエッティ。いくつもの世界で指名手配された広域次元犯罪者。 通信映像や音声のデータは数多く残っているものの、未だ、人前に姿を現したことはなく、 逮捕歴もない。多くの命を弄び、生体改造兵器を作り出し、管理局地上本部にテロをしかけ、 とうとう、古代の遺産まで呼び起こしてしまった。空へ上がる聖者の船を前に、私たちは」 シャッハ「騎士カリム。これが、あなたの予言にあった」 カリム「踊る死者たち、死せる王の下。聖地より帰った船。古代ベルカ、聖王時代の究極の質量兵器。 天地を統べる聖者の船。聖王の…ゆりかご」 はやて「一番なって欲しくない状況になってもうたんかな?」 カリム「教会の、ううん、私の不手際だわ。予言の解釈が不十分だった」 はやて「未来なんて、分からへんのが当たり前や。カリムや教会の皆さんのせいとちゃう。さて、どないしよか」 クロノ「はやて、クロノだ。本局は、巨大船を極めて危険度の高いロストロギアと認定した。 次元航行部隊の艦隊は、もう動き出している。地上部隊も協力して、事態にあたる。機動六課、動けるか?」 はやて「うん」 ウーノ「聖王の器とゆりかごは、安定状態に入ったわ。クアットロとディエチはゆりかご内より私と交代。 トーレとセッテ、セインはラボでドクターの警護。ノーヴェは、ディードとウェンディ、13番目と一緒に。 ゆりかごが完全浮上して、主砲を撃てる位置」 クアットロ「二つの月の魔力を受けられて、地上攻撃ができる軌道位置までたどり着ければ、ゆりかごはまさに無敵」 トーレ「ミッドの地上全てが人質だ。その状態なら、本局の主力艦隊とでも渡り合える!」 ウェンディ「そういや、一個疑問があるんッスけど」 トーレ「なんだ?」 ウェンディ「あのゆりかごの中にいる聖王の器とかいう女の子って、ぶっちゃけ何?」 スカリエッティ「ふふふ、私が教えようか?」 トーレ「ドクター」 スカリエッティ「今から、10年ばかり前になるかね。聖王教会にある司祭がいてね。 彼は敬謙な教徒にして、高潔な人格者だった。それゆえに、聖遺物管理という重職についていたんだよ」 ウェンディ「せい、いぶつ?」 クアットロ「聖王教会の信仰の対象。古代ベルカ時代の聖なる王様、聖王陛下の持ち物だったものとか、遺骨とかのことよ」 ウェンディ「へぇ~」 スカリエッティ「だが、司祭といえど人の子だ。彼は、ある女性への愛から、 それに手をつけてしまったんだよ。そして、聖骸布に極わずかに含まれた血液からは、 遺伝子情報が取り出された。古代ベルカを統べた偉大な王。聖王の遺伝子データがね。 そうして、聖王の種は各地に点在する研究機関で極秘裏に複製され、再生を待った」 セイン「はい、ドクター。質問」 スカリエッティ「どうぞ、セイン」 セイン「レジアスのおっちゃんはまぁいいとしてさ。最高評議会だっけ?あっちのほうはいいの? ガジェットの量産とか人造魔道師計画の支援をしてくれたのってあの人たちだよね?」 スカリエッティ「ああ、そうとも」 セイン「ゼスト様とかルーお嬢様も評議会の発注で復活させたんでしょ? 評議会には評議会で何かプランとか思惑とかあったんじゃ」 スカリエッティ「レジアスも最高評議会も希望は一緒さ。地上と次元世界の平和と安全。 そのために、レジアスは計画を頓挫させられた戦闘機人に拘り、 最高評議会はレリックウェポンと人造魔道師計画に拘わった。平和を守り、正義を貫くためなら、 罪もない人々に犠牲を出してもいいと、なかなか傲慢な矛盾を抱えておいでだ」 セイン「ん~、何かよく分かんないなぁ」 ウェンデイ「ッスね~」 セイン「ともかく、スポンサーである評議会のことを無視して、あんなでっかいおもちゃを呼び出したりしたら、 怒られるんじゃないのって私は心配」 スカリエッティ「はははは、ちゃんと怒られないようにしてあるさ。君たちは何も気にせずに楽しく遊んできてくれればいい。 遊び終わったら我らの新しい家に、ゆりかごに帰ろう。そうすれば、世界の全てが我々の遊び場だ」 セイン『へぇ、相変わらずドクターの話はよく分からんねぇ~』 ウェンディ『そうッスね~。ま、あたしら別に夢や希望があるわけでもなし。生みの親の言う通りに動くしかないッスけどね~』 「ジェイルは少々やりすぎだな」 「レジアスとて、我らにとっては重要な駒の一つであるというのに」 「我らが求めた聖王のゆりかごも、奴は自分のおもちゃにしようとしている。止めねばならんな」 「だが、ジェイルは貴重な個体だ。消去するにはまだ惜しい」 「しかし、かの人造魔道師計画もゼストは失敗。 ルーテシアも成功には至らなかったが聖王の器は完全なる成功のようだ。そろそろ、良いのではないか?」 「我らが求むるは優れた指導者によって統べられる世界。我らがその指導者を選び、 その影で我らが世界を導かねばならぬ。そのための生命操作技術。そのためのゆりかご」 「旧暦の時代より世界を見守るために、わが身を捨てて永らえたが、もうさほどは長く持たぬ」 「だが時限の海と管理局は、未だ我らが見守ってゆかねばならぬ。ゼストが五体無事であればな。 ジェイルの監査役として最適だったのだが」 「あれは武人だ。我らには御せぬよ。 戦闘機人事件の追跡情報とルーテシアの安全と引き換えにかろうじて鎖をつけていただけだ。 奴がレジアスにたどり着いてしまえば、そこで終わりよ」 ミゼット「旧暦の時代。バラバラだった世界を平定したのは最高評議会の三人。 現役の場を次の世代、私たちや時空管理局ってシステムに託してからも、 評議会制を作って見守ってくれていた。レジィ坊や…、ジアス中将もやり方が時々乱暴ではあったけど、 地上の平和を守り続けてきた功労者。だから、彼らが今回の事件に関わっているなんて、 信じたくは、ないのだけれど」 クロノ「……」 はやて「理由はどうあれ、レジアス中将や最高評議会は、偉業の天才犯罪者、ジェイル・スカリエッティを利用しようとした。 そやけど、逆に利用されて裏切られた。どこからどこまでが誰の計画で、何が誰の思惑なのか、それはわからへん。 そやけど今、巨大船が空を飛んで町中にガジェットと戦闘機人が現れて、市民の安全を脅かしてる。 これは事実。私たちは、止めなあかん」 フェイト「ゆりかごには、本局の艦隊が向かってるし、地上の戦闘機人たちやガジェットも各部隊が協力して対応にあたる」 なのは「だけど、高レベルなAMF戦をできる魔道師は多くない。 私たちは3グループに分かれて各部署に協力することになる」 フェイト「別グループになっちゃったね。ごめんね、私、いつも大切な時に二人の傍にいられないね」 エリオ「そんな」 キャロ「フェイトさん、一人でスカリエッティのところになんて心配で」 フェイト「緊急事態のためにシグナムには地上に残ってもらいたいし、アコース査察官やシスターシャッハも一緒だよ。 一人じゃない。二人とも頑張って。絶対無茶とかしないんだよ」 キャロ「はい」 エリオ「それは、フェイトさんも同じです」 シグナム「ゼスト・グランガイツと融合器アギトだな」 リイン「え!?」 シグナム「騎士ゼストについては、ナカジマ三佐がご存知だったよ。元管理局員、首都防衛隊のストライカー級魔道師。 八年前に亡くなられたはずの、レジアス中将の、親友だそうだ」 なのは「今回の出動は、今までで一番ハードになると思う」 ヴィータ「それに、あたしもなのはもおまえらがピンチでも、助けにいけねぇ」 なのは「だけど、ちょっと目を瞑って今までの訓練のことを思い出して。ずっと繰り返してきた基礎スキル。 磨きに磨いたそれぞれの得意技。痛い思いをした防御練習。 全身筋肉痛になるまで繰り返したフォーメーション。いつもボロボロになるまで私たちと繰り返した模擬戦」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「ぐぅ」 なのは「目、あけていいよ。まぁ、私が言うのもなんだけど、きつかったよね」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「あははは」 ヴィータ「それでも、四人ともここまでよくついてきた」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「え?」 なのは「四人とも、誰よりも強くなった、とは、まだちょっと言えないけど。だけど、どんな相手がきても、 どんな状況でも絶対に負けないように教えてきた。守るべきものを守れる力。救うべきものを救う力。 絶望的な状況に立ち向かっていける力。ここまで頑張ってきた皆は、それがしっかり身についてる。 夢見て憧れて、必死に積み重ねてきた時間。どんな辛くても止めなかった努力の時間は、絶対に自分を裏切らない。 それだけ、忘れないで」 ヴィータ「きつい状況をビシっとこなしてみせてこそのストライカーだからな」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!」 なのは「じゃあ、機動六課フォワード隊、出動!」 ヴィータ「いってこい!」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!!」 なのは「スバル。ギンガのこともあるし、きっと」 スバル「あの!違うんです!」 なのは「っ」 スバル「ギン姉はたぶん、大丈夫です。私が、きっと助けます。今は、なのはさんとヴィヴィオのことが」 なのは「ありがとう、スバル。でも大丈夫だよ。一番怖いのは、現場に行けないことだったんだけど、 八神部隊長がそこをクリアーしてくれた。現場に行って全力全開でやっていいんだったら、 不安なんて何もない。ヴィヴィオも大丈夫。私がきっと助けてみせる。だから、心配ないよ」 スバル「あ」 なのは「スバルが憧れてくれたなのはさんは、誰にも負けない、無敵のエースだから」 スバル「はい」 なのは「スバルだって、うちの自慢のフロントアタッカーなんだからね。相棒と、 マッハキャリバーと一緒に、負けないで頑張ってきて」 スバル「はい!」 ティアナ「出動前に何泣いてんのよ」 スバル「なのはさん、頑張ってって言おうと思ったのに」 ティアナ「逆に励まされて帰ってきた?」 スバル「うん」 ティアナ「馬鹿ね~。あんたがなのはさんを励ますなんて10年早いってことでしょ? なのはさんを励ましたいなら、今よりずっと強くなって立派にならなきゃさ」 スバル「うん」 はやて「ほんなら、隊長陣も出動や!」 なのフェ「うん!」 ヴィータ「おう!」 カリム「機動六課隊長、副隊長一同。能力限定、完全解除。 はやて、シグナム、ヴィータ、なのはさん、フェイトさん、皆さん、どうか」 はやて「しっかりやるよ」 フェイト「迅速に解決します」 なのは「お任せください」 カリム「うん。リミット、リリース!」 フェイト「なのは」 なのは「フェイトちゃん」 フェイト「なのはとレイジングハートのリミットブレイク、ブラスターモード。なのはは言っても聞かないだろうから、 使っちゃ駄目、とは言わないけど。お願いだから、無理だけはしないで」 なのは「私はフェイトちゃんのほうが心配。フェイトちゃんとバルディッシュのリミットブレイクだって、 凄い性能な分危険も負担も大きいんだからね」 フェイト「私は平気。大丈夫」 なのは「んぅ、フェイトちゃんは相変わらず頑固だなぁ」 フェイト「な、なのはだって、いつも危ないことばっかり」 なのは「だって、航空魔道師だよ?危ないのも仕事だもん」 フェイト「だからって、なのは無茶が多すぎるの!」 はやて・ヴィータ「はあぁ」 フェイト「私が、私たちがいつも、どれくらい心配してるか」 なのは「知ってるよ」 フェイト「ん」 なのは「ずっと心配してくれてたこと、よく知ってる。…だから、今日もちゃんと帰ってくる。 ヴィヴィオを連れて、一緒に元気で帰ってくる!」 フェイト「ぁ、うん!」 はやて「あの、フェイトちゃん。そろそろ」 フェイト「あ、ぁ、うん!」 ヴィータ「フェイト隊長も無茶すんなよ。地上と空は、あたしらがきっちり抑えるからな!」 フェイト「うん!大丈夫」 なのは「頑張ろうね」 フェイト「うん。頑張ろう」 なのは『悲しい出来事。理不尽な痛み。どうしようもない運命。そんなのが嫌いで、 認められなくて、撃ち抜く力が欲しくて…私はこの道を選んで、 おんなじ思いを持った子たちに技術と力を伝えていく仕事を選んだ。 この手の魔法は、大切なものを守れる力。思いを貫き通すために、必要な力。待っててね、ヴィヴィオ!』 ドゥーエ「あなたが見つけ出し、生み出し育てた異能の天才児、 失われた世界の知恵と限りない欲望をその身に秘めたアルハザードの遺児。 開発コードネーム。アンリミテッドデザイア、ジェイル・スカリエッティ。 彼を生み出し、力を与えてしまった時点でこの運命は決まっていたんですよ。 どんな首輪をつけようと、いかなる檻に閉じ込めようと、扱いきれるはずもない力は、必ず破滅を呼ぶものです」 ヴィータ「中への突入口を探せ!突入部隊!位置報告!」 なのは「第7密集点撃破!次!!」 隊員「は、はい!」 次回予告 なのは「ゆりかごへ突入する私と、ヴィータ副隊長」 フェイト「スカリエッティのアジトへ突入する、私とシスターシャッハ」 なのは「そして、フォワードたちも…」 フェイト「次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS第21話」 なのは「決戦」 なのフェ「Take off!」
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第7話 【進展】 ティアナ「最初の出動の時も、それなりに上手くはいったけど、ただそれだけだった……。 毎日の訓練も、あんまり強くなってる実感がしない。手の中には、優秀すぎる相棒がいて、 私の周りには天才と、歴戦の勇者ばっかり。今も疑問に思ってる。自分が何でここにいるのか。 あの人は何で、私を部下に選んだのか。魔法少女リリカルなのはStrikerS…始まります」 はやて「これまで謎やったガジェットドローンの製作者、およびレリックの収集者は現状ではこの男、 違法研究で広域指名手配されてる次元犯罪者…ジェイル・スカリエッティの線を中心に捜査を進めている」 フェイト「こっちの捜査は、主に私が進めるんだけど、皆も一応覚えておいてね」 一同「はい!!!」 リイン「で、これから向かう場所がここ。ホテル・アグスタ!」 なのは「骨董美術オークションの会場警備と人員警護。それが今日のお仕事ね」 リイン「取引許可の出ているロストロギアがいくつも出品されるので、 その反応をレリックと誤認したガジェットが出てきちゃう可能性が高い。ということで、私たちが警備に呼ばれたです」 フェイト「この手の大型オークションだと、密輸取引の隠れ蓑にもなったりするし、色々油断も禁物だよ」 キャロ「シャマル先生。その箱、何が入ってるんですか?」 シャマル「隊長たちのお仕事着」 はやて「会場内の警備はさすがに厳重、と」 なのは「一般的なトラブルには十分に対処できるだろうね」 はやて「外は六課の子達が固めてるし、入り口には防災用の非常シャッターもある。 ガジェットがここまで入ってくるんいうんはなさそうやしな」 なのは「うん。油断はできないけど、少し安心」 はやて「ま、どっちにしても私たちの出番は非常事態だけや」 スバル「八神部隊長が使っているデバイスが魔道書型で、それの名前が夜天の書っていうこと。 副隊長たちとシャマル先生、サフィーラは、八神部隊長個人が保有してる特別戦力だって、こと。 で、それにリィン曹長合わせて六人揃えば無敵の戦力…ってこと。 ま、八神部隊長たちの詳しい執事とか能力の詳細とかは極秘事項だから、私も詳しくは知らないけど」 ティアナ「レアスキル持ちの人は皆そうよね」 ティアナ「六課の戦力は、無敵を通りこして明らかに異常だ。八神部隊長がどんな裏技を使ったのかは知らないけど、 隊長格全員がオーバーS…副隊長でもニアSランク。他の隊員たちだって、 前線から管制官まで未来のエリートたちばっかり。あの歳で、もうBランクをとってるエリオと、 レアで竜召還師であるキャロは二人ともフェイトさんの秘蔵っ子。あぶなかっしくあっても、 潜在能力と可能性の塊で、優しい家族のバックアップもあるスバル。 やっぱり、うちの部隊で凡人なのは私だけか。……だけど、そんなの関係ない。 私は、立ち止まるわけにはいかないんだ」 ゼスト「おまえの探し物は、ここにはないのだろ?……何か気になるのか?」 ルーテシア「うん。……ドクターのおもちゃが、近づいてきてるって」 シャマル「前線各員へ。状況は広域防御戦です。ロングアーチ1の総合管制と合わせて私、シャマルが現場指揮を行います」 ヴィータ「新人たちの防衛ラインまでは一機たりともとおさねぇ。速攻でぶっつぶす」 シグナム「おまえも案外過保護だな」 ヴィータ「うるせーよ!」 なのは「フェイトちゃん。主催者さんはなんだって?」 フェイト「外の状況は知らせたんだけど、お客の避難やオークション中止は困るから、開始を少し延ばして様子を見るって」 なのは「そう…」 ティアナ「これで…能力リミッター付き…」 ルーテシア「ゼストやアギトはドクターが嫌うけど、私はドクターのことそこまで嫌いじゃないから」 ヴィータ「急に動きがよくなった」 シグナム「自動機械の動きじゃないな」 シャマル「有人操作に切り替わった」 シャーリー「それが、さっきの召還師の魔法?」 スバル「召還って、こんなこともできるの?」 キャロ「優れた召還師は、転送魔法のエキスパートでもあるんです!」 ティアナ「証明するんだ。特別な才能や凄い魔力がなくたって、一流の隊長たちの部隊でだって、 どんな危険な戦いだって…私の、ランスターの弾丸はちゃんと敵を打ち抜けるんだって!」 ヴィータ「ティアナ!このバカ!無茶やったうえに味方打ってどうすんだ!!」 スバル「あの!ヴィータ副隊長。今のもその、コンビネーションのうちで」 ヴィータ「ふざけろタコ。直撃コースだよ、今のは!」 スバル「違うんです!今のは私がいけないんです!よけ…」 ヴィータ「うるせーバカ共!もういい!後は私がやる!二人まとめて、すっこんでろ!!」 ヴィータ「ティアナは?」 次回予告 スバル「後悔も、悲しみも、立ち上がる力に変えて…。私たちはずっと、そうやって歩いてきた。 次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS…第8話、願い、ふたりで。…私は、ティアのパートナーだから!」
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高町ヴィヴィオ アインハルト・ストラトス 高町なのは フェイト・T・ハラオウン コロナ・ティミル リオ・ウェズリー ルーテシア・アルピーノ ノーヴェ・ナカジマ スバル・ナカジマ ティアナ・ランスター キャロ・ル・ルシエ ミウラ・リナルディ ミカヤ・シェベル 高町ヴィヴィオ ディバインバスター(Memory;12) レストリクトロック(Memory;12) ソニックシューター(Memory;12) リボルバースパイク(Memory;15) アクセルスマッシュ(Memory;15) ジェットステップ(Memory;21) アインハルト・ストラトス 覇王断空拳(Memory;04) 旋衝破(Memory;12) アンチェインナックル(Memory;14) 覇王空破断(仮)(Memory;15) 高町なのは セイクリッドクラスター(Memory;10) ラウンドシールド(Memory 10) アクセルシューター(Memory;14) フォトンスマッシャー(Memory 14) バインディングシールド(Memory;14) ストライク・スターズ(Memory;14) スターライトブレイカー・マルチレイド(Memory;15) フェイト・T・ハラオウン ソニックフォーム(Memory;15) ライオットザンバー・スティンガー(Memory;15) コロナ・ティミル 創成起動(Memory;12) パージブラスト・ロケットパンチ(Memory;15) リオ・ウェズリー 絶招炎雷炮(Memory;11) 双龍円舞(Memory;12) 雷神装(Memory;13) 轟雷炮(Memory;13) ノーヴェ・ナカジマ スタンショット(Memory;04) リボルバースパイク(Memory;04) エアライナー(Memory;04) ルーテシア・アルピーノ トーデス・ドルヒ(Memory;12) スバル・ナカジマ ウイングロード(Memory;10) キャリバーショット(Memory;12) ティアナ・ランスター クロスファイア・フルバースト(Memory;14) スターライトブレイカー・ファントムストライク(Memory;15) キャロ・ル・ルシエ ブーステッドヒーリング(Memory;14) アルケミックチェーン(Memory;15) ミウラ・リナルディ ハンマー・シュラーク(Memory;21) ミカヤ・シェベル 天瞳流抜刀居合『水月』(Memory;20)
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銃の形をした召喚器。それはトリガーに過ぎない。 本来ならば、その身体を銃身とし、精神を火薬とする。 ならばその撃鉄は、この言葉であろう。 ――ペルソナ。 03 Burn My Dread 藤堂綾也は星が好きだ。月が好きだ。それらを抱く夜空が好きだ。 何故、と聞かれると返答に窮する。ただなんとなく、ぼんやりと好きと感じるだけだからだ。 幼少の頃、引き取ってくれていた義父とともに夜空を見上げることが多かった。もしかするとそのせいかもしれない。 十年前……両親を亡くし、綾也自身にも重大な惨禍をもたらしたあの事故の後。 ただでさえ親戚が少なく、なかなか引き取り手が現れなかった綾也の前に現れた人物。 それが彼の義父となる男、藤堂 尚也だった。 義父は不思議な人だった。子供心に、何かを感じ取った覚えがある。 その何かは綾也を惹きつけてやまなかった。 綾也が中学生になった時、同時に正式な養子となって性を貰った。 妙に嬉しく感じたのを、覚えている。 ミッドチルダの夜。綾也はあの頃と変わらないように見える月を見上げ、そして腕時計に視線を落とした。 あと数分で、影時間が訪れる。感慨に浸る時間もそろそろ終わりだ。 これからの事に、視線を向けるべきだろう。 目下の所、問題はシャドウの出所だ。自分の知る限りでは、あのように市街地に出現するのは少数のイレギュラー。 大半のシャドウは、「巣窟」のような場所にいる。と思われる。 それが以前のように巨大な塔だったら分かりやすいんだけど、と内心独りごちた。 「タルタロス」。ギリシア神話の冥界の最奥地、「奈落」の名を持つそれは、神話とは逆に天へと昇る広大な塔の形をしていた。 その正体は、以前の世界での有数の複合企業、桐条グループが起こした“実験事故”の影響で、影時間にだけ姿を現す迷宮だ。 桐条グループは、いや正確には、桐条鴻悦……つまり当時の桐条グループの総帥は、「時を操る神器」を作ろうとしていたらしい。 そのため、鴻悦はシャドウを研究し、その特性を調べていたそうだ。 しかしシャドウを調べるうち、鴻悦は次第に虚無感に苛まれ、世界の滅びを願うようになったという。丁度その頃から、鴻悦の研究は当初の目的とずれていった。 破滅願望をもった鴻悦は、世界を滅ぼす研究へと身を投じたのだ。晩年の鴻悦の狂気を、その孫娘はこう語る。 「祖父は、何かに取り憑かれているようだった」……と。 鴻悦の研究は進み、もう少しで実験が完成する、最終段階まで来ていた。最後の実験……その最中、一人の研究者による実験の強制中断によって、その研究は「実験事故」という形をもって終結した。 実験事故は同時に、大惨事を引き起こした。周辺一帯を吹き飛ばす程の大爆発、住民の被害も甚大。 この時、綾也は両親を亡くしていた。 そしてその実験事故の禍根はそれだけに留まらない。後腐れ、副産物とも言うべきものが発生していた。それが、影時間とタルタロスだ。 これは後に知った事なのだが、実際には、影時間の発生は大量のシャドウを集めたことにより、起こるべくして起きたことだという。 シャドウには微力ながら、時空間に干渉する力があると考えられている。そしてシャドウが寄り集まり、時空間に干渉する力が集積した結果、影時間が発生する。 シャドウを大量に集めた結果。時空間に干渉する力の集大成。それが影時間というのは、ごく自然に思われる。 つまり、影時間とは「シャドウの力の正しい表れ」なのだ。 そうなれば、この世界でもシャドウの力を集積、増幅させた何らかの要因、そしてその原因があるはずである。 シャドウの力を増幅させた何か、それがそのまま巣窟である可能性もある。が、それは考えにくい。 何故ならそんなことができるのは、シャドウの事をよく知る「人間」である可能性が高いからだ。 どちらにせよ、敵の居場所が分からない以上こちらからのシャドウへのアタックは不可能なのが現状。 とはいえ、今のところ戦力は綾也ただ一人。いくら綾也が強いといっても、一人で敵地に乗り込むのも危険過ぎるために、身動きが取れない。シャドウの巣窟を見つけたとしても、結局は動けないのだ。 何か、嫌な感じがする。 シャドウがこの世界に蔓延っているのは事実なのに、こんな膠着状態のままで落ち着いていていいのだろうか? 現状に対する不安や焦りが、綾也の心中にあった。 しかしひとまず綾也はそれを打ち消し、今できることに集中することにした。すなわち、六課の周辺にシャドウが現れた場合の掃討である。 攻めることはできなくても、守ることはできる。守ることしかできない、とネガティヴに考えることもない。 守ることができるというのは、それだけでも重要なことだからだ。 イレギュラーが発生した場合、機動六課の周辺だけならば、綾也一人でもカバーできるはず。 しかし……と、どうしても考えてしまうことがある。 (僕が、探査型のペルソナを持ってさえいれば……) ペルソナには、戦闘に向かない「探査能力」に特化したものがある。「生体エネルギー」のようなものを敏感に感じ取り、それを解析できる能力。 広域をサーチすることにも長けたこの能力は、今の綾也にとって必要不可欠なものだ。この能力さえあれば、シャドウの居場所や出所も突き止められるはずである。 しかし生憎、綾也は補助能力に特化したペルソナを持ちこそすれ、それはカテゴライズするなら「戦闘用」にすぎない。 数多のペルソナを使いこなし、どんな敵とでも戦ってきた綾也に欠けている能力。それは「戦わない」力。 探査能力のスキルや素質を、綾也は欠片も持ち合わせていなかった。 いわゆる、適材適所。ペルソナにもそれがあるということだ。綾也は今まで常に先頭に立ってシャドウを倒してきた。 リーダーという役割があったからだ。 その裏で、バックアップの役はいつでも存在していた。その大切さが、今になって身に染みる。これでも十分、その重要性は理解していた筈だったのだが。 溜息をつきたくなった。確かにイゴールの言うとおり、前途多難だ。 直後、体が異様な感覚を受けた。時間と時間の境界に足を踏み込む時の、あの一瞬の感覚。 深い暗闇に身を置いた時のように、胸の奥がざわざわとして、胃が空くような感触を受ける。 闇が頭上に迫り、覆い包まんと被さってくる。そして、月が不気味に光り輝く。 影時間の訪れだった。 綾也は素早く辺りを見回す。 この瞬間だ。シャドウの住処が影時間にだけ現れるのなら、影時間に入った瞬間、何処かになんらかの動きがあるはずだった。 少なくとも、シャドウの住処になるような巨大な場所が出現するのならの話だが。 しかし、そのような動きは見られなかった。つまり、シャドウの住処は堂々とそびえ立つような建造物ではない、ということになる。 もともとこれでシャドウの住処が見つかるとは思ってなかったし、「見つかればいい」程度に考えていたので、そこまでショックなことでもないのだが。 そして、本題はここからだ。イレギュラーによる被害を減らすための、パトロール。 古典的だが、先人の知恵は借りるもの。タルタロスや影時間を消そうとしていた先輩たちも、戦力が増えるまではこのようにゲリラのような活動をしていたと聞く。 召喚器を腰に、綾也は市街地へと繰り出した。 月明かりだけを光源に、とは言っても十分に明るいのだが、不気味に静まり返った市街地はさながらスプラッター映画の舞台のようでもある。しかし飛び出してくるのは殺人鬼ではなくシャドウだ。人を襲うという点で、似たようなものだが。 血溜まりのように足元に広がる赤い染みや、異様に明るい月に青緑に染まる空と地面。 所々に西洋風の棺が樹立している。適正無き人間の、象徴化した姿だ。 シャドウと影時間の影響を遮断する作用が、影時間の中において視覚化されたものである。 象徴化している人間はそもそも影時間に立ち入ってはおらず、適性のある人間からすれば、象徴化している人間は相対的に言えば「止まって」いる。 故に象徴化している間の人間は、影時間に起こるさまざまな事象に影響を受けない。しかしシャドウによって影時間に引きずり込まれた者は、シャドウの格好の餌食となるのだ。 餌食。自分で考えていて胸が悪くなる。見慣れた影時間の風景が、今は少し不快だ。やっとの思いで消した影時間が、この世界でも。 ぐちゅり、と背後で奇妙な音がした。 綾也は振り向き、道路に蠢く黒いわだかまりを認めた。青白い仮面が、同じく綾也を捉えている。 ホルスターから召喚器を引き抜いた。そのまま流れるような動作で銃を回転させ、その銃口をこめかみに向ける。 躊躇なく引き金を引きながら。 「タナトス!」 そして、死を司るその名を叫ぶ。と同時に現れる棺を纏う黒衣の死神。タナトスが、跳躍したその勢いのまま、その腰に佩かれている剣を引き抜くと、その身体を真っ二つにすべくシャドウに切り掛かる。 シャドウがその兜割りのような上空からの強烈な一撃を受けきれるはずもなく、敢え無く一刀のもとに両断された。 両断され、二つに分裂したシャドウはすぐに原形を失い、霧消した。役目を終えたタナトスはかすかに揺らぎ、消えていく。 綾也は召喚器をホルスターに戻す。 内心、拍子抜けしていた。手ごたえがまるでない。これまで幾度となく強敵を相手に戦ってきた綾也には、雑魚同然だった。 しかし、と気を引き締める。そんな雑魚でも、野放しにはしておけない。無力な一般人は、いかに惰弱なシャドウであろうとも、それから逃れることはできないのだ。綾也は散策を再開した。 シャドウは、人間の精神のエネルギーを餌として食らう。餌食となり、精神を食われた人間は心神を喪失し、完全な無気力状態に陥る。 こうなった人間は「影人間」と呼ばれ、誰かの保護なくしては生きてゆくことさえできないような状態に追い込まれるのだ。 つまりそれは、緩やかな殺害に他ならない。 ミッドチルダ……この大都市だ、イレギュラーの数も少なくないはず。 綾也一人ではどうしたってカバー出来ないところもある。多少の被害は、諦めるしかない。 しかし、影人間となった人を見殺しにすることもできない。 影人間を元に戻す方法が、ひとつだけある。大型の、他とは一線を画す強力なシャドウを倒すことだ。 これは強い力を持った、いわばリーダーを失ったシャドウの勢力の低下が原因と思われる。 しかしそれも一時的なものだ。いずれまた大型のシャドウが現れ、影人間が増殖する。 イタチごっこのようだが、それを続けなければいずれは全ての人たちが影人間と化してしまう。 それを防ぐためにも、不毛に思える戦いを続けなければならないのだ。 しかし無限に思われるそのサイクルに、どうすれば終止符を打つことができるのか。その方法は、おそらくこの世界の影時間を消す方法と同じはずだ。 シャドウの存在は、影時間と直接の関係はない。 しかしシャドウがその姿を現し、人を襲うことができるのは影時間の中でだけだ。 影時間を消せば、シャドウがこの世界に直接関与することはできなくなる。 シャドウの存在そのものを完全に消し去ることはできないが、シャドウがこちらに干渉してこれる時間を消すことで、シャドウによる被害は無くすことができるのだ。 そのためには、影時間を消す手がかりと、影時間ができた原因を突き止める必要が……。 結局、思考は堂々巡りだ。今は考えても無駄なこと。綾也は考えるのをやめた。とりあえず今は、この時間の中、出てくるシャドウを消していくだけだ。 そうすれば、少なくともこの周辺での被害は減るはず。 その綾也の考えは間違ってはいない。しかし、同時に一つ簡単な、それでいて重大な見落としをしていた。 シャドウが出現するのは、なにも屋外だけとは限らないのだということを。 機動六課、局内。 灯りは全て落ち、窓から差し込む月明かりだけが廊下を照らしだしている。 時の刻みが停止し、静寂に包まれた暗闇で、なのははひたすら走っていた。 背後に迫る気配。振り返らずともその姿はなのはの目に焼き付いている。影のように黒い体に、のっぺりと青ざめた仮面を張り付けたような異形。なのはは知る由もないが、「マーヤ」と呼ばれるタイプのシャドウだった。 最もポピュラーで、戦力もさほど高くない小型のシャドウ。マーヤは、仮面ごとに1~12までのタロットのアルカナになぞらえて分類される。 このマーヤのアルカナは、魔術師。逆位置の啓示を名に持つ、「臆病」のマーヤだ。 数あるマーヤの種類の中でも最弱の「臆病のマーヤ」だが、今のなのはにとっては十分な脅威となりうる。 マーヤは真っ直ぐに、獲物であるなのはを追っていた。 どうする?どうすれば。頼みの綱の綾也は、周辺のイレギュラー掃討に向かっている。 影時間が明けるまで帰ってこないだろう。救援は望めない。 この時間内、なのはは、それどころか六課全体は完全に無防備になる。魔術師の要のデバイスが使えず、機械も使えない。 こんな悪夢のような状況でできることと言えば、あのシャドウから逃げ続けることくらいだった。 しかしそれもいつまで持つか。戦闘時の機動を飛行魔法に頼っているなのはは、普段は極度の運動音痴。 持久力だって高くない。走り続けることもできなくなったら、待つのは死。それだけだ。 (そんな……っ) いくらなんでも、あんまりではないか。局内は安全だと思い込んだが故の危機。しかしその判断ミスを誰が責められよう。 シャドウは外からやってくるものだという認識が、四人の内に共通していた。 ほんの数分前、影時間が訪れてすぐのこと。なのはは六課の局内を捜索していた。 影時間の事を、局員にどう伝えるべきか。日中は、綾也が六課に入隊することを決めた後、なのはも含めた四人で、対策を話し合った。 結果、影時間に適応していない者にはそれを伝えず、適応者のみに影時間を打ち明けることになった。 適応していない、その事実をしらない者たちに真実を話したところで何ができるわけでもなく、いたずらに混乱させるだけだと考えてのこと。 不安を煽るメリットは、皆無だ。下手をすればこちらの正気を疑われかねない内容なのだから、尚更である。 よって、影時間に入ってから適応者を捜索するという手順に至り、影時間内での行動も、ここで決められた。 綾也は周辺のパトロール、残った三人は六課内部で適応者の捜索。 三人で手分けして、象徴化していない適応者を探す事になっていた。 しかし、まさかこんな事になるなんて。 とりあえず行くあてもなく、なのはが廊下を歩いていた時、不気味な音と共にそれは訪れた。 聞き覚えのある、気味の悪い音。なにかが潰れたような、得体の知れない奇妙な音。 恐る恐る振り向けば、そこにあったのは小さな黒い塊だった。丁度月の光が届かない、影になっている部分に生じている「何か」。 いや、正体は分かっている。この闇の中、生じる影よりもなお黒く昏いその異物。 塊は徐々に大きさを増し、奇妙な箇所から腕を二本生やすと、なのはの方を振り向いた。 大きさ、高さはせいぜいなのはの膝程度。昨夜のシャドウと同じように、光を全く映さないゴムのような表面。 仄かに発光している、青白くどこか物悲しげな表情をした仮面。その仮面が、なのはの姿を「見た」。 瞬間、なのはの背筋に氷柱が通ったがごとく全身が強張る。 マーヤがなのはの方へ滑るように向いだしたのと、なのはが逆方向へ逃げ出したのはほぼ同時だった。 一度覚えた恐怖は、そう簡単に拭い去れるものではない。この異形の正体を知っていても、それを前にして立ち向かうことなどできない。 昨夜出くわしたあの大型のシャドウとは違って体も小さく、腕だって二本きり。 その手に刃が握られているわけでもない。 少なくとも、あれよりは遥か格下の存在だということは分かった。 しかし風貌的に昨夜のシャドウを思わせるマーヤは、なのはの心の根元的な部分にある恐怖を呼び起こす。 この先一度でも立ち止まったら、きっとその場で動けなくなる。なのはは直感的にそう感じていた。 シャドウの動きは、ともすれば子供の駆け足並みに緩慢だった。しかし、それでいてなぜか振り切れないスピードでなのはを追ってくる。 足を必死に動かし続ける限りは、捕まることはない。しかし、影時間が明けるまで走り続けることができるのか。 綾也によれば、影時間はおよそ一時間。 (できっこない……!) だからと言って、諦めるのか。ここで己の生が終わる事を、よしとしていいのか。 目を、逸らしてはなりません…… 「!?」 心の奥底で、自分のものではない声がした。いや、本当に声だったのだろうか? なのはは呆然と立ち止った。漠然と心の中に溢れる、この不思議な感覚。心臓が、早鐘を打っている。 人が誰しも心に抱える恐れや怖さというものは、自分にとって何が危険なのかを教えてくれる重要なもの。 そして逆に言えば、何も恐ろしいと思わなくなったとき、人は立ち止まらなくなる。 自らの行いを、そしてその行動の結果を、恐れなくなるからだ。 人は、恐れに縛られれば、何もできなくなる。 かといって、恐れを全く抱かなければ、行動に犠牲を出す事すらを厭わなくなる。 真の恐怖を覚えた時、何が人を支えるのか。それは自分を信じる心。そして、自分の信じる何かへの信頼。それだけだ。 自分から眼を逸らさず、向き合ってこそ、恐怖へ立ち向かうことができるのだ。 背後のシャドウを振り返り、緩慢な動作で迫るそれを見据える。 なのははシャドウを通して、見詰めていた。真の恐怖の、その先にあるもの。 そして信じた。自分の力を。自分の中に眠る、可能性を。 (綾也君……) 心の中で彼の姿を思い描く。その後ろ姿が、拳銃を自らの頭に突き付ける。 なのはは、自分の手を銃を持つ形にしてこめかみに宛がった。 仮想のトリガーを握る指の動きが、彼の動きとリンクする。 今、この行為の意味が理解できた。必要なのは、勇気と覚悟。そして……この、言霊。 震える吐息を吐きだして、深呼吸を一つ。気持ちを落ち着かせて、一音ずつ、呟くように。 恐怖を燃やせ。 ……トリガーを、引いて。 「ペ・ル・ソ・ナ」 そして。 弾丸が放たれた。 なにかが弾けるような音とともに、なのはから精神の欠片である青白い結晶のような板が散乱し、そしてそれは徐々に人の姿を象って行った。 なのはを立ち止らせたその 声なき声 が、なのはの脳裏に囁きかける。 我は汝……汝は我……。 我が名は内なる仮面。 汝の心理に宿りし魂が刃。 我は汝の心の海より出でしもの。 白銀の車輪、アリアンフロッド。 極彩の虹もちて、あらゆる悪を調伏せしもの。 我、汝の運命の刻みと共にあらん……! 現れたのは、後光が差しこむように感じる光の女神、アリアンフロッド。 後光のように見えていたのは、一定の速度を保ちながら絶えず回転している、巨大な白銀の煌めく車輪だった。 その車輪はそれ自体が光を放っており、赤から紫へと七色のグラデーションを燈しながら周囲を染めている。 その光を受け、流麗に流れる絹糸のような頭髪。まさに虹のように光り輝き、その軌跡に淡い燐光すらを残してゆく。 その身にはゆったりとしたローブのようなものを羽織っており、額にはティアラを頂いている。 頭上には、天使の輪の如くに虹が浮かんでいた。 ゆっくり、誘うようにアリアンフロッドがその手を差しのべた。 するとその手は聖なる光を発し、虹のような七色のスペクトラムの流れがシャドウを射抜く。 たちまち蒸発を始め、もとから存在しなかったかのように、跡も残さずに消え去った。 それと同じように、白銀の車輪が揺らぎ、アリアンフロッドの姿も消えてゆく。 なのはは、召喚のショックからか、呆然とその光景を眺めていた。 「わたしが……ペルソナを、出せた……」 やがて呟いた一言には、紛れもない驚きが含まれていた。 あのとき自分は何をした?無我夢中で、心が導くままにトリガーを引いたのは覚えている。 あのときの不思議な感覚。シャドウに対する恐怖のくびきが抜き取られ、すべてがクリアに、鮮明に感じられた。 言葉にするなら……そう、覚醒。あれが、もう一人の自分。 アリアンフロッド、それがわたしのペルソナ。 わたしは、ペルソナを得たのだ。 余韻に浸る暇もなく、なのはは眩暈を感じると、そのまま意識を失い、倒れこんだ。 それからほどなくして、影時間が明けた。 最後のシャドウを消し終えた綾也の息は、少し上がっていた。 小一時間ぶっ通しで、唯一人現れるシャドウを倒し続けるのは、相手がいくら雑魚とはいえ消耗を強いられるものだった。 ともあれ、綾也は通常の時の流れに身を戻し、六課への帰路を急いだ。 何故か、自然と早足になる歩みを抑えられない。 問題はないはずだ。なのに、何か嫌な予感がしていた。ぼんやりと、実体をもたない漠然とした不安。 僕は、何か見落としをしている――? 何を見落としているのか。それがわかれば、スッキリするものを。 しかし、この不安は杞憂ではないと、直感的に感じていた。 ……急ごう。綾也は、ついに走り出した。 前へ 目次へ 次へ
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海岸沿いに建つ真新しい建物――機動六課隊舎へと続く、舗装されたばかりの道を、エリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエは並んで歩いていた。 卸したての制服は二人とも袖が余り、十歳という年齢相応の幼い顔立ちとも相まって、服を着ているというよりも服に着られているような印象を周囲に与える。 「スターズ隊の前衛って、どんな人達なのかな……?」 「上手くやっていけると良いね」 不安そうに俯くキャロに、エリオはそう言って笑いかけた。 右手でキャロの左手を取り、元気付けるようにぎゅっと握り締める。 初めての職場のまだ見ぬ同僚に、不安や緊張を抱くのは仕方がない……それはエリオも同じである。 しかし、自分達ならば上手くやっていけるという自信もエリオにはあった。 初めて会ってから数日しか経っていない自分とキャロはもう友達になれた、他の六課の仲間ともきっと一緒に頑張っていける。 「一緒に頑張ろう」 屈託なく笑うエリオにキャロも顔を上げ、「うん」と笑顔で頷いた。 握った右手がキャロからも握り返され、掌を通じて体温が伝わってくる。 いつの間にか足は止まり、互いにじっと見つめ合う少年少女……。 完全に二人だけの世界に入ってしまったエリオとキャロに、キャロの傍らを飛ぶ白い小さな龍――フリードは呆れたように火を吐いた。 往来の真ん中で人様に迷惑だとかお前ら初日から遅刻するつもりかとか、言いたいことは山程あるが、しかし今の二人の間に割って入るだけの度胸はフリードには無い。 どうしたものかと天を仰ぐフリードは、その時、蒼天の彼方でキラリと光る何かを見た。 流星だろうか……徐々にその大きさと輝きを増すその「光」に、フリードは現実逃避でもするようにぼんやりと思考を巡らせる。 段々と近づいてくる光を眺めながら、フリードはふと気付いた……あれ、これってもしかして直撃コースじゃね? 青ざめるフリードが警告の鳴き声を上げようとした、その瞬間、一枚の巨大な光の「壁」がギロチンのように二人と一匹の眼前に突き刺さった。 「うわっ!?」 「きゃあ!!」 地を揺るがす衝撃と舞い上がる土煙に、エリオ達は思わず悲鳴を上げる。 二人の目の前にそそり立つ巨大な「壁」――否、空を切り裂き、雲を貫き、轟音と共に地面に垂直に突き立ったそれは、巨大な、余りにも巨大な……「道」だった。 不測の事態はまだまだ続く。 空へと続く光の「道」――その向こう側から、何かが来る、何か巨大なものが駆け下りてくる。 「赤い、ロボット……?」 「顔のお化けだ……」 呆然と呟くエリオとキャロ、二人の言葉が全てを語っていた。 二人の頭上を飛び越え、地響きと共に着地した「道」の主、それは赤を基調とした鋼の巨人だった。 鬼を思わせる額の一本角、爬虫類のような尻尾、そして胴体部分を占領している第二の「顔」……。 その全てが、禍々しい。 混乱した思考は徐々に落ち着きを取り戻し、二人は接近する異形の巨人の正体を冷静に推測する。 凶悪な外見に、機動六課の正式稼動直前の隙を狙ったかのようなこのタイミング。 この「道」にしてもよくよく考えてみれば、自分達を狙った奇襲攻撃と思えなくもない。 敵であることは最早明白、ならば自分達のするべきことは一つ…… 「起きろ、ストラーダ」 エリオの呼びかけを受け、右手首に巻かれた腕時計――ストラーダの液晶が明滅する。 キャロの左手首を飾る二つの腕環――ケリュケイオンも、主の闘争の意思を感じ取ったように淡い輝きを発している。 エリオがキャロを見る、キャロもエリオを見ている。 軽く頷き合うだけで互いの意思を把握し、二人は固く握っていた手を離す。 「ストラーダ!」 エリオが右手で拳を握り、 「ケリュケイオン!」 キャロが左手を高く掲げる。 「「――セットアップ!!」」 凛とした主の声に応えるように、二つのデバイスは光と共にその真の姿を現す。 フリードも臨戦状態に入ったのか、可愛らしくも雄々しい咆哮を上げた。 機動六課は自分達が守る……熱い誓いを胸に抱き、少年少女とその他一匹の戦いが始まろうとしていた。 同時刻、機動六課隊舎部隊長室。 来客を告げるブザーの音に、はやてとリインフォースⅡは顔を上げた。 「はい、どうぞ」 はやての了承の声と共に自動扉が開き、機動六課の制服に着替えたなのはとフェイトが姿を現す。 「お、二人ともキまっとるやん」 「お似合いですー」 口々に褒めるはやてとリインフォースⅡに、なのはとフェイトは照れたように笑みを浮かべる。 「この部屋も、やっと隊長室らしくなったね」 そう言って部屋の中を見回すなのはに、はやても笑顔で頷く。 最初は何も無い、ただ広いだけの部屋だった。 そこにまず机が運び込まれ、続いて書類や他の備品、その他様々な物資が部屋中に無秩序に置かれていった。 山のように積み上げられた段ボール箱を一つ一つ開き、必要なものを必要な場所に整理していく――そうして漸くオフィスらしい体裁を整えきったのが、昨日の夜遅く。 この部屋がこの部屋らしくなるまでの一連の流れは、はやてが機動六課設立のために奔走したこの四年の月日そのものだった。 「……やっとや。やっとこれから、始まるんや」 感慨深そうに呟くはやてに、なのはとフェイトが同意するように首肯する。 「高町なのは一等空尉」 背筋を伸ばし、管理局員としての名を名乗るなのは。 「フェイト・T・ハラオウン執務官」 表情を引き締め、魔導師としての名を告げるフェイト。 「本日只今より、両名共機動六課へ出向となります」 「どうぞ宜しくお願いします」 そう言って敬礼するなのはとフェイトに、はやても敬礼と共にこう応える。 「こちらこそ、よろしくお願いします。なのは隊長、フェイト隊長」 形式通りの就任挨拶を終え、久々に同じ制服で揃った幼馴染三人は、懐かしさと気恥ずかしさに笑い合う。 中学校卒業と共に正式に管理局に入局した三人は、それぞれ別の道を歩き始めた。 なのはは教導官、フェイトは執務官、そしてはやては捜査官。 違う色の明日を目指して別たれた三つの道は、しかし再び一つに繋がった。 それが一瞬の交錯に過ぎなくても、目指す明日は違うままでも、もう一度三人で「今」を生きられる。 たったそれだけのことが、三人には堪らなく嬉しかった。 「頑張っていこーか!」 気合いを入れるはやてになのは達も力強く頷こうとしたその時、非常事態を告げるサイレンの音が隊舎中に響き渡った。 『緊急事態です。八神部隊長』 動揺する三人の前にウィンドウが開き、眼鏡をかけ落ち着いた物腰の青年――グリフィス・ロウランの顔が映し出される。 「グリフィス君! これは一体何事や!?」 絶妙なタイミングで現れた副官に、はやてが詰め寄る。 その剣幕に気圧されながらも、グリフィスは己の仕事を全うするべく口を開いた。 『報告します。機動六課敷地内で中規模の戦闘発生、現在隊舎前でライトニング隊前衛二人とスターズ隊前衛二人が戦っています』 グリフィスからの報告に、はやて達の間に緊張が走る。 正式稼動前とはいえ敷地内、それもこの隊舎前まで敵の侵入を許した上、迎撃に出ているのは経験の浅い新人四人……分が悪いにも程がある。 「これは、ちょっとマズいかもね……」 ぽつりと呟かれたなのはの言葉に、はやても青ざめた顔で頷く。 「グリフィス君、敵の種類や数は? エリオ達は何と戦っているの?」 はやての横からウィンドウを覗き込み、フェイトがグリフィスに問い質す。 エリオもキャロもまだ十歳、その上戦闘の経験も皆無である。 そして何より、フェイトにとって二人は部下である前に大切な家族なのである。 泣きそうな表情でウィンドウを見つめるフェイトに、グリフィスは何故か複雑そうな顔で目を逸らした。 「……グリフィス君?」 副官の不自然な行動にはやてが怪訝そうに眉を寄せる。 『いえ、ですから……「ライトニング分隊前衛二人とスターズ隊前衛二人が」戦っているんです』 言い辛そうに、本当に言い辛そうに繰り返されるグリフィスの報告――先程と同じ、しかし決定的に何かが違うその言葉に、なのは達は先程とは別の意味で息を呑んだ。 まさか……。 唖然とした顔で顔を見合わせる三人の前に、新たなウィンドウが表示された。 外の様子を映し出したそのウィンドウの中では、……確かに「ライトニング分隊前衛二人とスターズ隊前衛二人が」戦っていた。 「皆は僕達が守るんだああああっ!!」 槍型のデバイス――ストラーダのブースターを噴かし、怒号と共にラゼンガンに突撃をかけるエリオ。 砲弾のようにラゼンガンに体当たりし、そして吹き飛ばす。 全長20mの巨体が宙を舞い、土煙を上げて地面に叩きつけられる。 『ぁ痛たた……こらー! 話を聞きなさいよ、この馬鹿ガキ共!!』 『そうそう! あたし達を誰だと思ってるの!?』 憤慨したようにティアナとスバルの声で抗議するラゼンガンに、エリオは問答無用とばかりにデバイスを構え直した。 その足元に展開される魔方陣――加速と防御の呪の込められたキャロの補助魔法が、エリオに力を与える。 エリオの目つきが刃のように鋭くなり、瞳の奥では覚悟の炎が燃えている……再度突貫する気満々である。 『ティ、ティア! やっぱりウィングロードで人身事故起こしかけたのを怒ってるのかなぁ!?』 『アンタ馬鹿ぁ!? そんな悠長なこと言ってる余裕なんて無いでしょ!!』 狼狽える上の顔を一喝する下の顔、その一瞬の隙をエリオは見逃さなかった。 ストラーダのブースターを全開で噴かし、そして自身も全力で地を蹴る。 一瞬でトップスピード――キャロの魔法の加護でそれ以上の速度域まで加速したエリオが、弾丸のようにラゼンガンに迫る。 『この馬鹿ガキ……いい加減にしなさいよ!!』 怒髪天を衝く――寧ろ怒リル天を突く。 ティアナの怒声と共にラゼンガンの全身からドリルが突き出し、触手のようにうねりながらエリオに襲いかかった。 「うわっ!?」 咄嗟に防御陣を展開するエリオだが、迫り来る無数のドリルの触手の猛攻に抗しきれずに墜落、限界を超えた突進速度そのままで地面に叩きつけられた。 「エリオ君!?」 撃墜されたエリオにキャロが悲鳴を上げながら駆け寄る。 「だ、大丈夫……!」 そう言ってデバイスを杖代わりに立ち上るエリオだが、墜落のダメージで膝は震え、強がるような言葉とは裏腹に全然大丈夫そうには見えなかった。 ラゼンガンからの思わぬ反撃、その事実に一番動揺していたのは、他ならぬラゼンガン自身だった。 『ちょっと、ティア!? 何反撃してるの!?』 「黙れ馬鹿スバル! アンタこの状況が解ってないの!? 所長もはやて部隊長も言ってたでしょ? やらなきゃ殺られる、戦わなければ生き残れない……そう、これは戦争なのよ!!」 『その相手が根本的に間違ってるよーな気がするのはあたしの気のせいかなぁっ!?』 絶叫するスバルを無視して、ティアナはラゼンのモニター越しにエリオ達を睨みつけた。 この生意気なガキ共に灸を据えてやる……頭に血が上った今のティアナの思考は、その衝動一色に染まっていた。 「スバル、躾ってさ……ついハードになっちゃうものよね?」 静かな、まるで凍てついたように静かなティアナの声に、スバルは思わず身を震わせた。 ヤバい、このままじゃ洒落にならない……通信ウィンドウに映るティアナの顔から危険な何かを感じ取り、スバルはラゼンガンの制御を奪い取った。 「えーと、あのね……」 暴力はいけないと思うから話し合いで解決しよーと続く筈だったスバルの思いは、しかし言葉になる前に喉の奥で消滅していた。 キャロが――白い小さな龍を従え、傷ついたエリオを守るように立つ桃色の髪の少女が、ラゼンガンを――否、そのコクピットシートに座るスバルを、睨みつけている。 幼い瞳に浮かぶのは、大切な人を傷つけられた怒り、傷つけ合うことしか出来ない哀しさ、そして傷つき傷つけてでも大切なものを守る決意。 覚悟の炎が、燃えていた。 「フリード」 傍らを飛ぶフリード――卵の頃からずっと傍にいてくれている小さな「家族」に、キャロは優しい声色で語り掛ける。 「ごめんね、窮屈な思いをさせて……」 フリードのこの小さな身体は、本来の姿ではない。 大き過ぎるが故に恐れられ、偽りの器に押し込めた本当の力と姿――白銀の飛龍。 「私は自分の力が嫌いだった。フリードのことも、もしかしたら嫌いだったのかもしれない……」 それは偽らざるキャロの本心だった。 制御不能な力はキャロから居場所を奪い、孤独と恐怖を押しつけ続けた。 破壊しか生まず、奪うだけで何も与えてくれない己の力――そしてその象徴、フリードリヒ。 嫌わぬ筈が無い、憎まぬ道理が無い。 「でも……」 しかし今、嫌っている筈のフリードの力を、憎んでいる筈の自分自身の力を、キャロは何よりも欲していた。 奪われないために。 守り抜くために。 「私はもう逃げない! フリードからも、自分自身からも!!」 それは決意だった――自分自身と真っ直ぐに向き合う、そんな覚悟。 それは覚悟だった――どんなに大きな力でも背負ってみせる、そんな覚悟。 そしてそれは誓いだった――自分のこの力で優しい人を、自分に笑いかけてくれる人達を守り通す、そんな誓い。 故に少女は力を求める、傍らの半身に力を請う。 「だからお願い、力を貸して……フリードリヒ!!」 その言葉と共にキャロの足元に巨大な魔方陣が展開され、フリードが歓喜するように咆哮を上げる。 名前は力を持つ――地球やキャロの出身世界〝アルザス〟など、次元世界各地に残る伝承である。 魔法理論の発達した現代では迷信として廃れた思想だが、嘘の筈は無いとフリードは思う。 現に名前を、自分の本当の名前を呼ばれただけで、自分はこんなにも力が湧いているのだから……。 フリードの小さな身体が光と共に弾け、代わりに地上の魔方陣から巨大な影が浮上する。 「これが、フリードの本当の姿……?」 呆然と呟くエリオを一瞥し、キャロは最後の仕上げに入る。 名前は力を持つ――故郷アルザスに伝わる言い伝えを、キャロもまた信じている。 ここ一番の大舞台に名乗りは不可欠、名前を飾る口上も欲しい。 故にキャロは告げる、この名前を。 自分の力を、自分達の存在を、世界に宣言する。 「白き閃光蒼穹を奔り、銀の翼が天を翔ける! 龍魂召喚フリードリヒ、私達を誰だと思っているの!!」 凛としたキャロの名乗りに呼応して、白銀の飛龍――フリードリヒの咆哮が轟く。 宝石のような瞳に輝く、闘争の炎と理性の光――かつて幾度となく暴走し、その度に何もかもを壊し続けてきたフリードリヒの力を、キャロは完全に制御していた。 初めての龍召喚成功。 それはキャロにとっても、機動六課にとっても、本来喜ぶべき結果であろう。 惜しむらくはその矛先が、龍使いの少女とその半身が敵意の牙を向けるその先が、他ならぬ機動六課の仲間であるということである。 誤解という名の運命の皮肉に気付くことなく、指し手のいない盤上の駒達は最悪の結末へと進もうとしていた。 「ちょっとちょっとちょっとちょっとぉっ!?」 「何よアレ? 何よアレ!? あんなのアリ!?」 巨大化したフリード――フリードリヒの姿に、スバルとティアナはラゼンガンのコクピットで、狼狽えたように声を上げる。 フリードリヒの大きさはラゼンガンの半分程度、しかしその存在感は圧倒的である。 白銀の飛龍の口元に光と炎が集い、激烈な輝きが周囲を眩く照らす。 「……やるしか、ないっていうの!?」 血を吐くようなスバルの叫びと共に、ラゼンガンの全身から突き出したドリルが右腕に絡みつき、一本の巨大なドリルとして融合成長していく。 『ちょっとスバル、それはっ……!!』 通信ウィンドウに映るティアナが血相を変えて叫ぶが、スバルは止まらない、止まれない。 コンソール中央の渦巻き状のゲージ――スバルの螺旋力を示すそれは一向に上昇の気配を見せない。 それはある意味、当然である。 攻撃に迷いのある今のスバルに、自分を信じていない今のスバルに、螺旋力の発動など出来る筈が無いのだから。 にも関わらず、右腕のギガドリルは巨大化を続けている、膨張を続けている。 まるで風船のように外側だけが膨らみ続ける、中身の無い空っぽのドリル――それは今のスバルの心そのものだった。 しかしそれでも、砲撃を貫き飛龍の大きくも小さな身体を貫く程度のことは、この空っぽのドリルでも可能なのだ。 極限まで膨れ上がる二つの敵意と殺意が、次の瞬間、爆発した。 「ブラストレイ!!」 キャロの号令と共にフリードリヒが火球を放つ。 「ギガドリルブレイク!!」 スバルの絶叫と共にラゼンガンのギガドリルが咆哮を上げる。 駆け引きも何も無い、純粋な力と力――想いと思いの正面衝突。 そして次の瞬間……、 「え……?」 その気の抜けたような呟きは、果たして誰の発したものであったのだろう。 どちらかを必ず滅ぼす筈の二つの必殺の一撃は、しかしどちらを滅ぼすことも、それも互いに届くことすらなく、両者の中間で止まっていた。 ……否、止められていた。 背中合わせにラゼンガンとフリードリヒの間に立つ、二人の乱入者によって。 『なのはさん……?』 桜色の防御陣でギガドリルを受け止める、亜麻色の髪の魔法少女がいた。 「フェイトさん……?」 金色の防御陣で火球を押し止める、金の髪の魔導師がいた。 「皆……少し、頭冷やそうか」 能面のように無表情な顔で、氷のように凍てついた声で、なのはがラゼンガンー―スバルを見下ろし、そう口にする。 「やんちゃが過ぎる子には、おしおきが必要だよね……?」 額にうっすらと青筋を浮かべ、フェイトがエリオとキャロ、そしてフリードリヒを順番に眺め遣り、そう告げる。 それは実質的な死刑宣告だった。 「「フルドライブモード」」 二人の号令と共に、レイジングハートが槍型に、バルディッシュが大剣型に変形する。 そして間髪入れずに魔力の充填を始める二人のオーバーS級魔導師に、四人の顔から血の気が引いた。 慌てた四人が言い訳する余裕も、逃げ出す隙も与えることなく、二つの必殺を超えた超必殺魔法が、解き放たれる。 「エクセリオンバスター!!」 「トライデントスマッシャー!!」 その瞬間、桜色の光の奔流と金色の雷が、二人と一匹と一体を呑み込んだ。 「……まさか運用初日から、しかも味方相手に限定解除使う羽目になるとは、流石に思わへんかったよ……」 ウィンドウに映し出される、焼け焦げ、大きく穿たれた地面。 その中心で目を回すライトニング隊前衛の二人と一匹と、ガラクタ同然まで破壊されたスターズ隊所属の巨大ロボの姿に、はやては万感の思いを込めて嘆息した。 ウィンドウに映るグリフィスも呆れたような表情を浮かべている。 四年越しで実現したはやての夢――機動六課。 しかし待ちに待ったその船出は、早速悪天候どころか嵐に見舞われることとなった。 新人四人への説教やら本部への始末書やらを思い遣り、はやてはもう一度大きく息を吐いた。 「……色々と波乱万丈やね、うん」 現実逃避するようにそう零しながら、はやては手元のメモ用紙にペンを走らせる。 ――第一回機動六課分隊対抗ガチンコバトル。 ――結果:両分隊隊長の独り勝ち。 「負けんでぇ……ウチはこの程度では折れへんでぇーっ!!」 自棄になったようなはやての空虚な雄叫びが、部隊長室に響き渡った。 天元突破リリカルなのはSpiral 第6話「色々と波乱万丈やね、うん」(了) 戻る 目次へ 次へ
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―――捨てられる 捨てられた人間 ―――彼らは悲しみ、苦しみ、嘆くしかないのでしょうか ―――いいえ、それはちがう ちがうと思う 壱 新暦六十九年 そこには雑音が満ちていた。 研究員たちの怒号、ざわめき、悲鳴。狼狽した無数の足音。金属のつぶれる音。 頑健に造られたはずの研究施設の構造材が倒壊し、その破片をぶちまける音。 そして、それらを焼き焦がす炎の音。 匂いが満ちていた。 嗅ぎなれた、眼を醒ますたびに希望なんて無いのだと自分を暗鬱にさせた薬品臭。 無機質で冷たい金属と壁の匂い。窓の無い部屋にこもったカビの匂い。 そして、それらを焼き焦がして燃えあがる炎の匂い。 彼は衰弱していた。弱り切っていた。 苛酷な扱いを受けた幼い身体は、もとが何とも知れない細長い金属の構材を杖にしてようやく歩を進めていた。 疲労と熱とで、全身から汗がふき出す。身体が金属の杖につかまったまま、くずおれる。 いっそこのまま冷たい床に横たわりたいと身体と心が悲鳴をあげている。 空間を満たす金属と薬品の焼ける刺激臭と黒煙に、思わず彼はむせ返った。 逃げ惑う研究員たちの誰も、彼を気にかけなかった。怪我を負っている者も大勢いた。 瓦礫の下から伸びる手の主などは、生きているか死んでいるかも彼には分からない。 暗く濁った瞳に浮かぶのは、いつのまにか生まれついてからの伴侶であるかのように染み付いた諦観と、この状況への困惑と怯え。 ―――そしてほんのわずかだが、確実に、泥のように沸く感情。喜悦。 それが口を突いて出る『ざまあみろ』と。 「ハハッ……いい気味だ」 音となった言霊は、力を持って彼の心を黒い喜びにひたした。 だがそれは、心をざらつかせた。 生まれて初めて感じた胸のすくような喜びと、それを上回る不快感。 彼の幼い精神はそれを持て余した。 だから、気づかなかった。すぐそばで、瓦礫に半身を埋もれさせている男に。 「チクショウ! なんでこんなことにっ!」 知っている男だった。研究と言って、散々に自分に痛苦を味あわせた研究員。 その声が激しく大きな語調で響くだけで、彼の小さな身体はすくみあがった。 逃げ出したかった、だが逃げ出すことすら怖かった。だから眼が合ってしまった。 「NP3228、なぜお前がここに……。いや、それより。助けてくれ」 すがるような視線。声。付近に研究員の仲間はいない。 自分をモルモットとして扱った男の無力で、無様なさま。 だが、幼い心に刻まれた恐怖は、強制力を働かせた。 杖を支えに立ち上がる。 気だるい身体を引きずるように歩を進める。 男に近づいた。男は自身の身の丈の倍ほどもある瓦礫にすっかり挟まれ身動きをとれずにいる。 持ち上げる。高く、高く。 ――――杖を。凶器と変じた金属の塊を。 「おい、、、やめろ。あんなに世話をしてやったってのに。この恩知らずが!」 世話。研究員たちは、この男は、実験動物を扱う以上の扱いを彼にしたことは無い。 死なぬように、モノのように、動物のように。ただそうしただけ。 燃えるように泥が沸く。幼い心はそれが殺意だとは理解できなかった。 ただ振りあげた手のなかの凶器に、己の魔力がなかば無意識に流れた。 彼の生まれ持った資質に従い、それは魔法術式を通すことなく電気へと、致死の雷撃へと変換された。 限界を超えて注ぎ込まれた魔力は、弾けるように空中放電を起こすそれは周囲の空気を焼いた。 血のにじむほどに握りしめた金属が熱を帯びている。 手のひらを焼く音がした。肉の焦げる匂いがした。 痛みを無視することには慣れてしまっていた。 いや、その痛みは自分のモノではないのだと、他人のモノだと、そう思うことに慣れていた。そうでなければ壊れていた。 そして威力をいや増す雷撃は先端に収束し、彼の殺意にふさわしい形を具現化した。 コロすための形―――槍の形。槍の穂先を。 「やめろ。殺すつもりか。この、できそこない、、、、デッドコピーめ!」 始め黒くにごり、次に血のように禍々しい赤い炎を宿した彼の心は、最後に白熱化した。 それを映すように、彼の槍もまた極限まで圧縮された雷撃を白い刃と成す。 空中にあふれた雷撃が抉るような物質的破壊力すらともなって、周囲の壁といわず床といわず、周囲の空間を荒れ狂う。 彼の心には、もう怒りも憎悪も、殺意もなかった。 ――――ただ振り下ろした。思い切り。 * * 彼は走っていた。 左右の手のひらがひどく痛む。 焼け爛れ、癒着した皮膚を無理やり引き剥がしたそれは絶えず血をにじませ、耐えがたい激痛を彼に送り続ける。 どこを目指しているかなどもうわからない。 立ち止まればくずおれて、もう二度とは立ち上がれないという恐怖にただ突き動かされる。 様々な思念が、彼の心の表層に浮かびかけては沈んでいく。 そして徐々に、なにも浮かばない虚ろとなっていく思考。 最後に、ふと残った思念があった。『星を見たい』。 最後にそれを見たのはいつだったか。時間の感覚も、記憶も、ひどく曖昧だ。 ただそれが希望だと、自分にそう思い込ませてとうに尽きた体力を振り絞る。 酸素不足にあえぐ脳は、眼は、すでに前を見ていない。 自分が今ぶつかったのは壁なのか、それとも床なのか、本当に自分は走っているのかさえわからなかった。 だがそれも限界。意識もなにかもが闇に溶けようとしていた。 そんなときに、ふと。感じたのだ。風を。 「あァ……」 それは何と言い表すべきか。 これは弾道だと、そう思った。 彼を閉じ込めていた研究施設。檻を。彼の心を縛りつけていた闇を。 全てをまっすぐに、まっすぐに貫いていた。風穴を開けていた。 直径で数メートルほどあろうかというその大きな大きな弾道は、床を砕き、天蓋を割り、ぶ厚い壁をも貫いて、空につながっていた。 ただきれいだと思った。そこからさしこむ光は、そこから見える空は、そこから見える瞬く星たちは。 「……きれいだ」 その星たちの中に、ひときわ強く、虹色に瞬く星があった。 普通の星ではない。流れ星だって、円弧を描くように空を旋廻したりはしない。 なにより七色の虹を無秩序に撹拌して凝縮したような、そんな異様なモザイクとなった強い強い光。 そんな光を灯す星は、自然にはありえない。 その虹色の流れ星が動きを止めた。眼が合った。いや、合ったと思った。そんな気がした。 次の瞬間、星が激しく瞬いた。 網膜を焼かんばかりに輝くそれを、しかし瞬きもせずに目に焼き付けた。 その虹色の輝きが最高潮に達した瞬間。 星が、疾走した。虹色の光を炸裂させ、それを推進力に変えて。 速い。本当に速い。眼で追うことは叶わなかった。知覚すらできなかった。 ただ、あの異様な虹色に輝く光の尾の軌跡だけが、星の瞬く空を我が物顔で。 まるで星空を二つに割るように鮮やかに描かれていた。 次に感じたのは衝撃。 それは大気を震わせ、大地を震わせた。繊細な皮膚や筋繊維などものともせず、内臓にまで重く響く衝撃。 その次に感じたのは風だ。 澱んでいた空気と、白煙黒煙、瓦礫までが空へと巻き上げられた。もちろん彼の身体も。何もかもが世界全てが吹き飛ばされたようにすら感じた。 最後にもう一度、衝撃。 宙を舞ったそのままに、半ば崩れた壁に叩きつけられていた。 不思議と、痛みは感じなかった。 ただ何故か、熱かった。心が振るえ、そこから力が溢れてくる感覚。 それは、心の奥底に焼きついたあの虹色の光から与えられたものだと感じた。 そう信じたかった。そう信じた。 ならば自分も、こんなところで這いつくばってなどいられない! 世界には、あんなにも見たことのないものが、あふれるほどにちらばっていると知ったのだ。 それに気付いたならば、もうこんな見飽きた場所にいる時間は一瞬でも惜しい。 行くんだ。速く。もっと速く! 溢れる心の熱が身体を突き動かす。 それは力となり、力はみなぎる魔力となり、それは魔法になった。 魔力による単純な肉体強化。れが彼を加速させる。もっともっと速くと。穿たれた弾道の中を駆ける。 それはいびつな破孔だ。とても歩ける場所など無い。足場など無い。 だがそれがどうしたと。駆ける。走る。 床だったもの、壁だったもの、天井だったもの。それらを蹴り飛ばし、重力にも囚われずに、縦横無尽に駆け抜けた。 もうそろそろ弾道の先、空へと達しようというとき。呼ぶ声が聞こえた。 聞き覚えの無い、困惑と焦燥を滲ませるまだ若いだろう女の声。 だが彼に聞く気はさらさら無い。さらに加速する。 呼び声の主は対応を変えたようだ。 呪文。いや、デバイスに圧縮された呪文の解放を命じる声だ。 金色に輝く魔力光が収束し、疾走する身体を捕らえるべくバインドを結実しようとしている。 捕まってたまるか。 最後の加速。彼は渾身の力で、撃ち抜かんばかりに最後の一歩を蹴った。 結実したバインドが虚空を掴む。 そして彼は弾道から、文字通りの弾丸のごとくに飛び出した。 その瞬間、閃光が左右に走った。閃光の中心が青白い半球となって膨れ上がる。 強烈な光球だ。直視できないほど。 研究施設はその閃光に呑み込まれ、間も無く原形を留めぬ大崩落を起こした。 彼は空中でその爆風に揉まれながらも歓喜の感情を噛み締める。 広い広い空へと。世界へと踊り出たのだ。 その事実に、無理な強化により酷使された身体の痛苦よりも、自分をつないだ牢獄同然の研究施設から解放されたことよりも。 まだ見ぬ世界への期待と渇望が心を満たした。胸が躍った。 そのときにはもう、彼を――彼にはあずかり知らぬ事だが――保護しようとして閃光に呑まれた相手のことなど頭の中から消えていた。 ――――そのすれちがいが、彼と彼女の初めての出会いだった。 ――――――そして彼は、暫くの後ある世界の片隅でもう一つの出会いを経験することとなった。 * * 弐 二年後 新暦七十二年 あそこを逃げ出してからどれぐらいが経ったのだろうと彼は考える。 昨日のような気もするし、十年以上の昔にも感じられた。十年前に彼は生まれてもいないが。 実際は三年にも満たない時間なのだが。 彼は今、荒涼とした大地のド真ん中にいた。 そこに停められた仕事上のパートナー――相棒――の車の中で、相棒のド-ナツを無断で頬張っていた。 今は仕事中で、かつ待機中だ。相棒からの合図はまだ無い。 要するに未だ幼い彼は暇を持て余していた。 「―――懐かしい味がするなぁこのドーナツ。 ドーナツ……ドーナツかぁ」 懐かしい味に記憶が刺激される。彼は眼をつぶり思案にふけった。 このまま何もせず待機していたのでは眠ってしまう。 「そういえば、そうだった。 あの日あのとき、あの雨の日。ボクは一人で生きていた。誰にも頼らず。 いや、頼る相手も無く、一人で、ずっと……。 そこに、現れたんだ。 あの人が」 * * 参 新暦七十年 研究施設を逃げ出してからしばらくの時間が過ぎた頃。 あてもなくさまよった何者でもない少年は、この荒涼とした世界に流れ着いていた。 日々を生きるのも厳しい、そんな世界の片隅に。 その男は前触れなく現れた。 赤いシューティンググラスに、コート、髪型。浮かべた笑顔まで。 そのどれもがどこか鋭角的なイメージを抱かせた。 「よぉ、坊主。一人でなにしてる? こんなところで食事かぁ? その男は少年の手元を覗き込み、さらに言葉を続けた。 「ドーナツか。うまそうだな」 「……ほ、欲しいの?」 男の言葉に幼い体が身構える。 少年の返したその言葉と防御体勢に対してさもおかしそうに笑うとこう言った。 「だとしたらァ、どうする?」 「欲しいなら、奪ってみろ。 体の大きいあなたにはかなわないかもしれないけど、ボクはこの食べ物を離さない!」 その勇ましい反応に、さらにおかしそうな顔をすると男は笑った。大声で。 「フフッ、ハッハッハッハッハッハッ! じょぉだんだよ。俺は物盗りなんかじゃねー」 「わかるもんか! そうやって優しい声をかけてくるやつに、何度も痛い目に合わされたんだ」 男は顔に笑みを張り付かせたままその抗弁に応えた。 馬鹿にされたのかと思うと面白くなかったが、その笑顔は不思議と不快には感じられなかった。 「痛いのも裏切りも、どこにでも転がってる。そういうもんだろ? その食いものをどうする? お前はどの道を選ぶ?」 「渡さない。三日ぶりの食事なんだ」 「だったらそうしろ。それでいいんだ。そういう気持ちでいいんだよ。 ―――坊主、お前の名前は?」 唐突で意外な問いに面食らった。自分が人間ではないと知らされて以来、人に名前を聞かれる それを顔に出すのもなにか悔しくて。精一杯の虚勢を張って答えた。 「坊主なんかじゃない。ボクの名前は、エリオだ」 「エルオか」 さらっと間違えた。『やっぱり嫌いだ、こんな人』。 「エリオです!」 「だから、エルオだろ?」 「エリオだって言ってるでしょ!?」 男は手をひらひらとさせてエリオを制する。 ますます愉快そうな顔をするものだから、エリオは面白いわけもなく。 きっと誰にもこんな調子なんだろうと、憤懣やるかたない思いが募る。 完全に乗せられている。 「わかったわかったぁ。ところで・・・ ―――そのドーナツ、うまそうだなァー」 「や、やっぱり狙ってるんじゃないですか!」 エリオは手のドーナツを庇うようまた度身構えるが、男はやはりそれに頓着しなかった。 人懐こい笑みを浮かべたままだ。 「知り合いだから、頼んでるんだよ」 本当にそれは、知り合いや友達に言うような軽い口調で。 それはとても懐かしいような、そんな感覚で。 だからだろうか、いつのまにかエリオは目の前の風変わりな男に気を置けなくなっていた。 「うー……、もう、しょうがないなぁ。 少しだけなら分けてあげます」 よく見れば、男も自分と同じぐらいにやつれていることに気付いた。 だから、つい、心を許してしまった。 同情とも共感ともしれぬ感覚から発せられたその言葉に対する男の反応は、ある意味でエリオの予想を大きく逸脱するものだった。 「助かる。実は俺も三日食ってないんだぁ……。 いやな、愛車に乗って気ままな一人旅を続けていた俺なんだがな 道中か弱い女性がアーレーなんて悲鳴をあげつついわゆるやられ役みたいな奴らに追われてたんで俺の中にある正義感がふつふつと湧き上がってきたしか弱い女性を助けるのは精神的にも肉体的にもお礼があるかなと思って最速で登場したわけだ! なんせ俺はGOODSPEEDだからな! それでやられ役の男たちが俺に向かってなにか言おうとしてきたんだが最速であることを信条としている俺は会話もせずに奴らを蹴り飛ばして女性を助けることに成功したのさァ! そしたらか弱い女性が俺にお礼を言ってCHUーの一つでもしてくれるかと思ったらいきなり怒り出してよ、よく聞いてみたらやられ役の男たちは彼女の使用人で鬼ごっこをして遊んでたらしいんだよ! おいおいそんな誤解を招くような遊びをしてるんじゃないと思ったけど愛と最速を信条としている俺はすぐさま誤って即座にトンズラしたわけだがその女性の兄貴がなんと魔導師でな! 仲間の魔導師を集めて追いかけてきたもんだからさァ大変! 食うや食わずの逃亡劇が始まって早三日! 嗚呼そんなこんなしてる途中で今ここにいる○×△□?!」 「あーーーーー!うるさぁーーーい!!」 それは、聞いているだけで頭痛がしてくるかのような言葉の洪水だった。 エリオはそれをなんとかせきとめた。 でなければどれだけ付き合わされるか分かったものじゃないと、そんな確信にも似た感覚があった。 きっとこういう反応が返ってくるのは初めてじゃないのだろう。愉快そうに手を叩いて男は謝罪を述べる。 「アッハッハッハッ! すまんすまん! 悪気は無かったんだ、エルオ」 「エリオです!!」 「あ~あァ~、すまんすまん!」 そのやりとりに男はやはりというべきか、さらに喜色を浮かべるばかりだった。 「あんたって人は・・・」 「あんたなんかじゃねぇ、俺は……おっと。悪い悪い、俺の方こそ名乗ってなかったな。 ―――俺の名前はな、ストレイト=クーガー。 ―――――――――――誰よりも速く走る男だ」 そう、どこか気取った調子で話したその男。 その出会いは。その名前は。その姿は。その在り方は。 エリオの幼い心に深く刻まれることになった。 * * 四 再び新暦七十三年 「ストレイト……クーガー……。 そうだ、そういう出会いだった」 自然と、笑みが浮かんでいることに気付いた。 彼の前ではけして口にしなかったが、尊敬していた。憧れていた。 だから、今の自分があるのはあの人のおかげだと、そう思えた。 そんなとき、相棒の奇妙なでどこか嬉しそうな奇声が聞こえた。 合図ではないが、餌―――よく言って囮。であるところの相棒に、獲物であるところの強盗がかかったのは間違いなさそうだ。 そして“一瞬”で相棒と獲物との間に割り込む。 その獲物に慌てた様子は無い。余裕も見て取れる。 手練れと見ていいだろう。 女性で、エリオから見ても美人の部類だった。 相棒が奇声を上げた理由はこれか。美人に眼が無い。 「あなた! そう、そこのあなたです! あなたですか? 最近この辺りに荒らしをかけているという魔導師は」 「そうだとしたら、どうするの? 坊や?」 大人な雰囲気に内心では少々気圧されながらも、精一杯にクールな虚勢を整えた。 「その人のおかげで、ボクの依頼人がお困りでしてね。人助けをすることにしたんです」 「ついでに報酬も頂く?」 「当然!」 「それじゃあ、あなたも魔導師なの?」 「そう思ってもらってかまいません。 さぁ、こちらの事情は話しました。あなたのここにいる訳を聞かせてください」 女性はほんの少し思案する様子を見せてから、多少神妙な調子で答えた。 「時空管理局が最近開拓したっていう街を目指してるの。 ほら。近頃、よそ者たちのせいで物騒になってきたでしょ? あそこはか弱い女子供を保護してくれるって聞いたから」 「―――なるほど。いかにも、もっともらしい理由ですね」 「どういう意味かしら?」 女の余裕は崩れない。きっとこのやりとりを楽しんでいるのだろう。 確かに方角はあっているし、夜の一人歩きも魔導師であると考えればそれほど問題ではない。 辻褄は合っている。 しかしエリオは、彼女がそうだと確信を深めていた。 この問答自体、彼の誠実さからくる一応の追認に過ぎない。 だから、精一杯に挑発的な笑みを相手に突きつけて。 「嘘はよくありませんよ?」 「あら、どうしてそう思うの?」 「どんなに嘘を隠そうとしても、どうしようもなく視線は動くものです。 ボクはそういう人たちをごまんと見てきた。 あなたは嘘をついている。 これは勘なんかじゃない、ボクの確信です」 「―――ふぅん。相当な手練れのようね?」 「―――まだ魔法を見せていないのに、ボクの力量を推し量るあなたも」 女性の纏う雰囲気が変質している。 まがりなりにも被っていた猫を脱ぎ捨てた、獰猛なそれに。 これじゃ猫どころか虎だ、とエリオはなんだかおかしな気分になった。 戦いの予感に、高揚している自分を意識する。 そんな二人の間にある危うい均衡を楽しむように、その虎であるところの女性は問いを発した。 「あなた、名前は?」 「エリオです」 「ああ」と女は声をあげる。「聞いたことがあるわ。確か、レアスキル持ちの雷撃使い」 「へぇ、ボクも有名になっちゃったな。 そうですね、そのエリオで間違いないと思います」 「若いとは聞いていたけれど、まさかこんなちっちゃくてかわいらしい坊やだったとはねぇ」 どこか人懐こい、そんなきれいな笑顔に見入りそうになる自分を叱咤して。 エリオは問いを返した。 「ボクのことは話しました。次はあなたのお話を聞かせてください」 「―――私? 私、私は……。そうね。私を倒せたら教えてあげる」 空間に魔力の流れを感じる。 リンカーコアが周囲の空間に漂う魔力を吸い上げているのだ。 この世界の魔力は濃い。 生まれついて強力な魔導師が多いのと、それは無関係ではないだろう。 エリオが応戦のための魔力結合と変換を開始しようとしたそのとき――――横槍が入った。 エリオの相棒―――いや、単なる仕事上のパートナーだ。と内心で訂正する。 「待て待て待てぇ! エリオ、そいつが例の荒らしなのかぁ?」 「は、はい。そうみたいですけど……危ないから下がっててください!」 間に割って入ろうとする男をエリオは手で制止しようとするが、男はまるで気にした様子は無かった。 「でもよぉ、お前みたいな強い魔導師の相手をしたんじゃあその綺麗なお姉さんがただじゃすまねぇ! エリオ! ここは俺に任せろ!」 サムズアップしながら彼の言ったことは、なんというか、少年の予想の斜め上だった。 「え、えぇえェ!? で、でも、キリシマさんは魔法なんて使えないんじゃ?」 この世界なら裏ルートを当たれば、魔導師としての才能が無い彼でも扱える質量兵器が手に入ることは知っていた。 実際、彼が銃型のそれをいくつか持っていることも知っている。 知っていたが、それは極めて原始的なもので魔導師相手に通用するとはエリオには思えなかった。 だがその男―――キリシマは軽い調子で続けた。 その顔は下心丸出しだった。鼻の下がこれでもかと伸びている。 正直エリオは大人に幻滅しそうになった。 「なぁに、お兄さんのやり方を見てなさい。そして思う存分目上の人間を敬うがいい~!」 「あら、あなたが相手をしてくれるの? 私はどちらでもいいわよぉ♪」 「はぁーい綺麗なお姉さぁーん! それじゃ男キリシマいっきま~っす♪」 そんな調子で彼女に大きく飛び上がって飛びかかっていくものだから、「あれじゃただの変態だよ……」エリオは頭を抱えそうになった。 彼らのそんな様子にはかまわず、女性魔導師であるところの彼女は、長杖型のストレージ・デバイスを構えた。 魔力によって編まれる防護装備――バリアジャケット――と環状の魔方陣が一瞬で展開される。 ミッドチルダ式の使い手だ。 「さぁ、かかってらっしゃい。これが私の魔法。 ―――シュート!」 複数が展開された環状の魔方陣。強い輝光を放つそれら全てから、同時に魔力弾が放たれる。 その射出数。速度。魔力量。集束率。誘導の正確さ。そして判断と思い切りの良さ。 その全てが彼女がこの無法の荒野の魔導師にふさわしい技量の持ち主であることを示している。 男キリシマがそれに対抗するする術は――――あるわきゃ無かった。 全弾を綺麗に直撃された彼は心持ち黒焦げになって吹っ飛ばされた。 「どぅわぁああああーーーー!!」 「だ、大丈夫ですかっ!?」 吹き飛ばされ、ゴミクズのようになった彼の元にエリオは駆けつける。 ―――黒焦げになった男キリシマは、なんというか、幸せそうな、満ち足りたような顔をしていた。 すごくたるみきったなさけない顔だ。 今度こそエリオは大人に幻滅した。 「すまねぇ、どじっちまった……。 き、気を付けろエリオォ。あの女、噂どおりすげぇ魔導師だっぜ……ゴホッ」 「わかってるなら行かないでくださいよ!?」 「期待しちまったんだよぉぉ!」 「何を!?」 「薔薇色をぉ」 「あなた絶対バカでしょう!?」 しかしキリシマはそんな、ハンカチを噛み締めているような表情から、急に神妙で真面目な表情を見せた それを見て性根から生真面目なエリオはハッとして、もしかしたら彼は自分に彼女の魔法を見せるためにわざと囮になったのかもしれないと。 揉まれてなお純粋な部分を多く残す少年エリオの脳裏にはそういった考えが浮かんだ。 キリシマは息を絞り出すようにしてエリオに語りかける。 彼の身体から力が抜けているのに気付いたエリオは顔を青褪めさせる。 「エ、エリオォ。頼む、俺のかた……かた…きを……うぐぁっ!ガクッ」 「キ、キリシマさん……。キリシマさぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 空に荒野に、エリオの慟哭が響き渡る。 だが。 キリシマはケロっと再度顔を上げた。 「ハーイ♪ 生きてマース☆」 「わかってますよ!!!」 放たれた射撃魔法はきっちり非殺傷設定だった。 しばらくは指一本ろくに動かせないだろうが、間違っても死ぬことはない。 魔導師でもない相手を殺すのは気が引けたのか。いや、ただ単に彼女もあきれたのかもしれない。 そんなキリシマの様子にあきれ半分で―――もう半分ではこっそりと安堵して―――彼を土の地面に放り出す。 ゴツゴツとした石の覗く地面に投げ出されたキリシマはカエルのような悲鳴を上げるが、エリオは今度はまったく同情しなかった。 「あーもうっ! しょうがないな! やられるくらいなら行かないでくださいよ!」 そしてやっと女性魔導師に向き直る。 どうやら待ってくれていたようで、愉快そうな顔をしてこちらを見ている。 あのバカっぽいやりとりをずっと見られていたのかと思うと、エリオは顔を真っ赤にした。 「あらぁ、かわいい。それで、次はあなたが相手をしてくれるの?」 「……ええ、そうなりますね」 「私の魔法の威力は見たはずよね?」 「ええ、見ました。かなりのものです。でも。 ―――そういうぶ厚い壁を見るとどうにも打ち砕きたくなるんですよ!」 魔力を雷に変換し全身に纏う。さらに呪文を唱える。我流の自己ブースト。 ブーストの加護を受け最高速度で肉薄し直接雷撃を相手に叩き込む近接格闘型。 それが彼のスタイルだった。 「いいわ。それじゃあ相手をしてあげる。さぁ、かかってらっしゃい! 坊や!」 「ええ、かかります! 当然そうしますとも! ――――行きます!!」 片膝を屈してしゃがみこむ。クラウチングスタートの要領だ。 四肢で大地を掴まえる、獣の戦闘体勢のような姿。 腰を突き上げ、それが静止する。 周囲の空間から吸い上げた魔力と、彼自身の魔力とが身体の内側で荒れ狂う。 それら全てを雷撃に変換し、限界よ超えろとばかりにエリオの小さな身体にそれが圧縮される。 身体からこぼれて荒れ狂い大地を舐め焼く雷撃の余波はまるで無数の電気の蛇だ。 そして唱える。 呪文ではなく、彼に速さを与える覚悟の言葉。尊敬するあの人から伝授された技。 相手を打ち倒すという決意の具現。 それに応えて彼の背中で極限まで圧縮された雷撃が解放され爆発的な推進力へと変換された。 「受けろよ! ボクの速さを!」 荒ぶる雷光の尾を曳いて。その身に宿す雷を拳に乗せる愚直なまでの一点突破。 「衝撃のォォォォッ!ファァーストブリットォォォォォォォォォォォ!!」 ――――それが荒涼とした大地が広がるばかりの世界にたどりついた彼の見つけた在り方。 彼の人生を変えた出会いがあった。 出会った一人の男に教えられた。生き方。戦い方。そして走り方。 そして、それからさらにしばらくの後に。 彼は再び彼の人生に大きな影響を与える出会いをすることとなる。 ―――強く、だがどこか脆く儚い。そんな光を宿した瞳と月に照らされ光輝く金色の髪を持つ女性と――― 魔法少女リリカルなのはGoodSpeed...Chapter1 Erio ...End To Be Continued... - 目次へ 次へ
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表紙の折り返しコメント 藤真拓哉 この度は、「魔法少女リリカルなのはvivid」第2巻を購入していただきましてありがとうございます。 4期シリーズとして始まった「リリカルなのはVivid」、皆様の応援のおかげで2巻も無事出すことが出来ました。 これからもよろしくお願いします! この2巻からはオフトレ編がスタート、3日間の様々な出来事の中でヴィヴィオとアインハルトの2人がどのように成長していくのか、注目です。 またこの巻から出てくる《新技》も楽しんでいただけたら嬉しいです^^ それでは本編をお楽しみください!「魔法少女リリカルなのはVivid」第2巻はじまります。 都筑真紀 無闇に作家歴が長い分、すでに相当な数の「主人公」を生み出しているはずの自分ですが、 ヴィヴィオほど明るくて屈託ゼロな主人公って初めてだな、って事に、ついさっき気がつきました。 そんなヴィヴィオは今後も曲がる事なく、リリカルでマジカルにがんばっていく予定です。 帯の武内崇のコメント 可愛いはもちろん正義。だけど、正しいだけでは勝てない戦いがある!可愛く、しなやかで頼もしい!これが最先端の熱血魔法少女活劇!! 長谷川光司のあとがきコメント コロナいーですよね。 いよいよ2巻ですねぇ。すっきりした線と柔らかい質感が大好きです。この先の展開も楽しみにしてますですよ。 長谷川光司先生から応援コメントをいただきました。 あとがき 2巻です。合宿編です。 相変わらずゆるっとまったり、時々懸命路線で進んでいっております。ところで制作秘話というか、ViVidのもう一人の主人公、アインハルトが生まれたいきさつとか。 娘TYPE誌上での「Force」は新規主人公で「重大事件」を描くストーリーとして、コンプエース誌上の「ViVid」はヴィヴィオが主人公であんまり重くならない話。 ここまではあっという間に決まったのですが、実は一番最初の企画段階では「スポーツ格闘」のラインはまだ存在しておらず、 「ヴィヴィオメインの学園&ホームコメディもの、時々事件」くらいの方向性で考えていました。 そんな叩き台状態で組んだストーリープロットは、まだ格闘技やスポーツの要素はそれほどなく、 ヒロイン役として置いていたキャラも、「無口系で受け身型で謎多きヒロインだけど、実は戦闘力が高くて、 主人公(ヴィヴィオ)と闘う事になる」というくらいしか決まっておらず、かなりふんわりしていました。 でも、そんな叩き台状態のストーリープロットを見てくれた藤真先生が、初回打ち合わせの時に「ちょっと描いてきてみました」 と見せてくれた「少女」が今のアインハルトでした。 頂いたその「少女」の絵からはすぐに今の設定や「ViVid」が目指す作品ジャンルやストーリーラインが出来上がっていって なんだかかなりあっという間に今の「覇王っ子」アインハルト・ストラトスが完成しました。 2巻では大分、素の天然度合いも披露されてきてヴィヴィオとの会話やかけあいは、書いていてとても楽しいです。 そして成長過程まっさかりのヴィヴィオや生まれたてのクリスはもちろんとして、アインハルトも「作中で育っていく子」だったりします。 過去と向き合ったり、前を向いたり上を見上げたりしながらヴィヴィオやリオコロ・周りの大人達と一緒にアインハルトも日々育っていきます。 のんびり見守っていっていただけたら嬉しいです。 都筑真紀 追記…いろんな人に「いったい何があったの?」と心配(?)されたルーテシアですが 特に何もありません。もともとこんな子です。 アギトあたりに言わせると「性格変わった」という印象すらないらしいです。「そういえば声が大きくなったかな」くらいで。 藤真です。「魔法少女リリカルなのはViVid」1巻の発売から半年、ついに2巻が発売になりました!! これもたくさんの応援をしてくれているみなさんのおかげです。 ツイッター、ミクシィ、ブログ、はがき、とても暖かいコメントを本当に、本当にありがとうございます! いっぱいの元気を頂いていますよ!! さて、この2巻からはオフトレ編スタート!ということでたくさんのキャラが登場し、ますます賑やかになって来ました。 ついにヴィヴィオの友達、リオ、コロナもバリアジャケット姿をお披露目。 次巻ではヴィヴィオ、アインハルトとともになのはやフェイトにどう立ち向かっていくのか、ますます 白熱するバトル 合宿を楽しんでいただければと思います(笑)! たくさんのキャラといえば少し前、都筑先生に、「ViVid 好きに書いちゃってますが作業量とか大丈夫ですか?」とおっしゃて頂きました。もちろん大丈夫です!! 藤真も全力全開で楽しく描かせていただいてますよ!だって「せーの!」で12人全員変身ですよ! 藤真のテンションも上がるというものです(笑)。これからもテンションアップでがんばりますっ!! そして3巻ではなんと、限定版が出ます!「ヴィヴィオのねんどろいどぷち」が付きます! 祝!ヴィヴィオ初ですよ!!この本が発売している頃には予約が始まっていることと思いますので こちらのほうも合わせてよろしくお願いしますね! では、また3巻でお会いしましょー! 2010.06 藤真 拓哉